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原油下落に注目!・・・でも、選挙前後に読んでおきたい「東京金」の話
吉田 哲
週刊コモディティマーケット
コモディティ(商品)をお取引いただく上でのコメント・アイディアを提供するレポートです。金をはじめとした貴金属、原油をはじめとしたエネルギー関連銘柄、とうもろこし・大豆などの穀物な…

原油下落に注目!・・・でも、選挙前後に読んでおきたい「東京金」の話

2014/12/12
65ドル割れの背景はOPECの動向、牽引役不在、ドル高、買い越し幅減少など
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このレポートの要旨

  • NY原油相場大幅続落の背景
  • 直近のマーケット:国内外の貴金属上昇、原油・石油製品は総じて大幅続落
  • 値位置・テクニカル:東京金4,700円、白金4,800円到達。東京ガソリンは62,100円台へ下落
  • トピックス:選挙の前後に読んでおきたい「東京金」の話

    1.東京金とNY金の相関係数は-0.21 足元の材料は「ドル円相場」へ 
    2.理論換算値(計算上の円建て金価格)を、誤差を考慮して参考にする
    3.衆議院選挙後のシナリオ

NY原油相場大幅続落の背景

図1) NY原油先物(期近)日足と200日移動平均線

チャート出所:楽天証券提供「マーケットスピード」より

原油価格の下落について主な要因は以下のとおりと考える。

直近での下落は、中国株の下落・OPECの原油需要見通し引き下げと報じられているが、先週のレポートでは以下の内容にて原油価格についての考察を述べた。

  • 61ドル割れの背景はOPECの動向、牽引役不在、ドル高、買い越し幅減少など
  • 「OPEC」には価格を上昇させるだけの力は期待できない
  • 「牽引役不在」はもはや長期的な懸念材料である
  • 「ドル高」は日・欧のサポートもあり継続する
  • 原油価格の下落が引き起こしていることは米国にとって利益大?
  • 下落した場合のシナリオは2000年台前半のレベル?

詳細はこちら

「原油価格の今後の動向を想像する」

原油相場で起きている事象の一例にすぎないが、今後の原油価格を見通す上で、これらの要素がどのように変化するかが大きなポイントになってくることと考える。

また、上記のほか、昨日発表された「OPECの原油需要見通し引き下げ」が印象的だった。

基本的にはOPECは産油国であるため、価格が下落しているこのタイミングで、シェールオイルのシェア拡大を牽制する一環であると報じられているものの、さらに下落につながることを行うことは個人的には不自然だと考える。

ニュースを見れば、OPEC内では減産して価格を引き上げたい思惑と、価格が下がってでも増産したいという思惑とが交錯している模様で、組織内で足並みがそろっていない点が指摘されており、ますます世界の中でのOPECの立居地が悪化していることが浮き彫りになっているようである。

これは今後の増産・減産などのアナウンスの効果が弱まっていく原因になるものと考える。

原油価格の動向についての分析、今後の価格を見通す上でのアイディアなどは引き続きこのレポートで記すこととしたい。

直近のマーケット:国内外の貴金属上昇、原油・石油製品は総じて大幅続落

図2) 2014年12月4日(木)始値と12月10日(水)終値の騰落率

出所:筆者作成

上記のグラフは、2014年12月4日(木)の始値と12月10日(水)の終値を比較した騰落率のランキングである。

コモディティ(商品)を中心に、株価指数・通貨の全体の1週間のおおよその値動きの流れを知ることができるだろう。

値動きのポイントは以下のとおり。

・貴金属:円安方向に推移するドル円の流れを受けて、東京市場の貴金属が上昇。ギリシャの政局の不安などを背景にドル建てもやや強含む展開。
・石油:OPECの原油需要見通し引き下げなどで大幅続落。12月11日時点で61ドルを割り込む展開。(詳細は上述のコメント・先週のレポートを参照)
・穀物:大豆・コーンが上昇。堅調な需要を背景に国内外の穀物価格が上昇。ドル円の円安方向への推移を好感して東京市場がより強含む展開。
・株・通貨:週の前半は強気な内容となった米雇用統計を背景に株高が進んだものの、ギリシャの政局不安・上海株安などを受けてやや調整安。日米ともに株価は小康状態。

値位置・テクニカル:東京金4,700円、白金4,800円到達。東京ガソリンは62,100円台へ下落

チャートはすべて以下の条件で掲載

限月:期先(先限)
種類:日足
移動平均線:紫「9日」・緑「26日」
出所:商品先物取引ツール「Formula(フォーミュラ)」

図3) 東京金  (単位:円/グラム)

・約1年7ヶ月ぶりとなる4,700円台をつけた後は上昇一服で反落。
・11日時点では、短期・中期の各移動平均の傾きは右上がり。
・短期移動平均線との乖離はやや縮小。

図4) 東京白金  (単位:円/グラム)

・約3ヶ月半ぶりとなる4,800円台をつける
・短期・中期移動平均線はともに右上がり。上昇トレンドの継続を示唆。
・週内の安値が短期移動平均にかかっている。

図5) 東京ガソリン  (単位:円/キロリットル)

・NY原油の下落につられて大幅続落。
・約2年ぶりの水準となる62,000円台まで下落
・短期・中期移動平均線はともに右下がり。下落トレンドの継続を示唆。

図6) 東京とうもろこし  (単位:円/トン)

・シカゴ市場の強含み、円安などで11月のピークとなる26,160円を上回る。
・短期移動平均線の傾きは再び右上がりとなり、中期線とともに右上がりの形状となる。
・短期・中期ともに移動平均線がサポートとなり価格が推移している。

トピックス:選挙の前後に読んでおきたい「東京金」の話

  • 東京金とNY金の相関係数は-0.21 足元の材料は「ドル円相場」へ

図7) 東京金、NY金、ドル円の日足終値について、
2014年8月1日を100としたグラフ

出所:筆者作成

この図のとおり、ドル円が円安方向に推移しはじめた8月以降、それまでほぼ変わらなかった東京金とNY金の価格の推移に変化が出はじめたことがわかる。

期間別の相関係数は以下のとおりである。

2014年の東京金とNY金の相関係数

1月6日から7月31日・・・0.91
8月1日から12月11日・・・-0.21

これらの値より、2014年の東京金の変動要因が、8月を境にNY金から何か別のものに移ったものと考えられる。

その何かが、図6よりうかがえるとおり、筆者は「ドル円」だと考えている。

2014年の東京金とドル円の相関係数

1月6日から7月31日・・・-0.16
8月1日から12月11日・・・0.71

上記のとおり、8月以降の東京金とドル円の相関係数は急速に高まっている。

もともと東京市場にとって、ドル円はメインマーケットであるNY市場の値動きに強弱を加える存在だったが、米株高の折、メインマーケットであるNY金には上昇する力はない中、円安が急激に進行したことで東京市場のメインの材料がNY市場からドル円に移ったことが背景であると思われる。

根本的に、東京もNYも、同じ金(ゴールド)の取引が行われていることには変わりはないため、「メインマーケットであるNY金と連動性のある元の状態に戻る」ことが今後の展開として考えられる。

元に戻るという考えは、NY市場と東京市場はそもそも同じ金の取引が行われているため、どちらかが一方的に上昇あるいは下落することは考えにくいという考えに立っている。

とはいえ、現在は目下、東京金先物市場は「ドル円」がメインの材料であると考えられるため、今後動向を見ていく上で、一つの参考として、理論換算値(計算上の円建て金価格)というものに着目してみたい。

  • 理論換算値(計算上の円建て金価格)を、誤差を考慮して参考にする

これは、次の式に価格を当てはめ、計算上の東京市場の価格を求めるというものである。

NY市場の金価格 × ドル円 ÷ 31.1045 = (計算上の円建ての金価格)

限月や金利などを考慮する詳細な換算値の計算もあるが、ここでは上記の簡易的な計算でご紹介したい。

以下のグラフは終値ベースの計算上の円建て金価格と実際の東京金先物の価格の推移である。

図8) 東京金 先限 日足と、上記の計算式で求められた値のグラフ (単位:円)

出所:筆者作成

時を同じくして2つの値がほぼ山谷を描いていることがわかる。

図9) 計算上の円建て金価格と実際の東京金先物の価格の差の推移 (単位:円)

出所:筆者作成

値は 計算上の円建て金価格 - 実際の東京金先物価格 で計算している。

グラフが0以上であれば、計算上の円建て金価格>東京金であり、0以下であれば計算上の円建て金価格<東京金ということを表している。

価格急変時はその限りではないが、よほどのことがない限りはプラスマイナス50円程度のレンジに収まっていることがわかる。

つまり、計算上の円建て金価格は実際の価格に対して、おおむね上下50円程度の範囲に収まることが多いということである。

合わせて以下の表をご覧いただきたい。

この表は、NY金・ドル円それぞれの値における、計算上の円建て金価格である。

図10) 計算上の円建て金価格 早見表
縦軸:NY金価格 (単位:トロイオンス / ドル)
横軸:ドル円 (単位:円 / ドル)

出所:筆者作成

必ず留意しなければならないのは、図9のとおり、計算上の価格と実際の価格には差が通常50円、場合によってはそれ以上差が発生する場合があることである。

それでは一つ例を示してみよう。

例)NY金1,230ドル、ドル円118.5円 の場合

計算上の円建て金価格である4,686円に、プラスマイナス50円を考慮する。

つまり、NY金1,230ドル、ドル円118.5円の時、東京金先物価格は、4,636円~4,736円の範囲に収まるだろう、ということである。

この表とプラスマイナス50円の差を元に、衆議院選挙後のシナリオを考えてみたい。

自民党大勝シナリオ

自民党が圧勝してアベノミクス路線が今後拡大することとなった場合。

日本株高、円安ムードで日本の景気回復基調が強まり、米国株高。リスクをとって運用するムードの高まりから金もやや買われ、NY金、若干強含み。

例)
ドル円・・・123.5円
NY金・・・1,270ドル

表より、計算上の円建て金価格・・・5,043円

誤差を考慮して求められた東京金先物価格は 4,993円~5,093円 ということになる。

自民党大敗シナリオ

自民党が大敗してアベノミクス路線が今後縮小することとなった場合。

日本株安、円高ムードで日本の景気回復基調が弱まり、米国株安。マーケットが総弱気の中、金もやや売られNY金弱含み。

例)
ドル円・・・114.5円
NY金・・・1,170ドル

表より、計算上の円建て金価格・・・4,307円

誤差を考慮して求められた東京金先物価格は 4,257円~4,357円 ということになる。

単純なケースで上記のとおり2つ例を挙げたが、両例ともに、NY金はさほど大きな値動きにはならない例となっているが、もし、ドル円とNY金が大きな値動きになった場合は両例の限りではないことにも注意したい。

メディアでは今回の選挙を「世界が注目する衆議院選挙」と例えることなどからすれば、その結果がマーケットに与える影響は軽微ではないと想像することができよう。

本レポートのとおり、足元の東京金先物価格はドル円によって作られている相場と言っても過言ではなく、選挙の結果を受けたドル円の動き次第で東京金の相場が大きな値動きになる可能性も考えられる。

選挙の結果とその結果によるドル円の動き、そしてそのドル円の動きによる金の大幅な値動きに十分注意したい。

本レポートが皆様のご参考になれば幸いです。

※レポート内で使用しているデータについて
特にことわりがない限り、国内商品先物銘柄は6番目の限月(期先)を、海外商品先物はその時点で取引量が最も多い限月(中心限月)のデータを採用。

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