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どちらが正しい?「損切り推進派」と「損切り消極派」それぞれの論拠とは
足立 武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのよ…

どちらが正しい?「損切り推進派」と「損切り消極派」それぞれの論拠とは

2011/5/19
資産運用に精通した公認会計士として活躍している、足立武志氏による「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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損切りは必要? 不要? 対立する2つの見解

本コラムを以前からご覧いただいている方はご存知と思いますが、筆者は「損切り推進派」です。損切りの重要性を何度も繰り返し説明してきましたし、筆者自身、バブル崩壊から20年以上続く長期低迷相場の中、損切りのおかげで大失敗せずに生き残ってこられました。

しかしその一方で、「個人投資家は損切り不要」と主張される専門家の人も少なくありません。

こうなると、損切りはいったい必要なのか、不要なのか、果たしてどちらが正しいのかと個人投資家の方は混乱してしまうのではないかと心配しています。

損切り必要説と不要説、この2つの説にはそれぞれ根拠があります。それを理解しておけば、なぜ損切りに対して正反対の2つの説が存在するのかが分かってきます。そうすれば、皆さんも「自分は損切りをすべきかどうか」「もし損切りをしないのならば自分にとって何が必要なのか」を自ら考えることができるはずです。

損失を拡大せず、浅い傷で済ませるのが損切り推進派の論拠

まず、筆者のように損切りの必要性を強く主張する人を「損切り推進派(1)」、積極的な損切りは不要であると主張する人を「損切り消極派(2)」と分類します。

(1)の損切り推進派は、損失を不用意に拡大させないために、「買値から10%下落したら損切り」とか、「移動平均線を株価が下回ったら損切り」、「直近安値を下回ったら損切り」といったような主に株価チャート・テクニカル分析を用いた損切りルールを設定してそれを実行すべきという考え方です。

この考え方の根底には、「いくら努力して将来の株価上昇が見込まれる銘柄を選んで投資しても、株価が買値から大きく下がることは珍しくない」という実践に裏打ちされた事実があります。

つまり、いくら毎年のように業績を伸ばしている良い銘柄であっても、株価は下がるときは大きく下がるのです。「業績が良い」=「株価上昇」という式は必ずしも成立しないのです。

ファンダメンタルの変化を待って損切りしたのでは遅すぎる

(2)の「損切り消極派」はさらに2つのタイプに分けることができます。ファンダメンタルの変化を理由とする損切りならば容認する見解の人を「ファンダメンタルによる損切り容認派(2-1)」と呼ぶことにします。そして、どんな場合でも損切りは不要だという見解の人を「損切り不要派(2-2)」とします。

(2-1)の見解の人は、買値からの下落率や株価チャートを判断基準とした損切りルールに否定的で、テクニカル分析は役に立たないし使うべきではない、あくまでもファンダメンタルに変化が生じた場合に損切りを考えるべきと主張します。

つまり好調なファンダメンタルを根拠として銘柄選びをした(例えば増収増益が続き、今後もその傾向が続くと期待される銘柄へ投資)ものの、業績が下方修正され、今後しばらく業績が低迷しそうだということが判明した時点で、投資した前提条件が崩れたために損切りを行うという方法です。

一見すると筋が通っているようにみえます。しかし、個人投資家が知識や経験、情報を大量に持つプロ投資家と同じ土俵で戦う株式市場では、実践的には失敗の可能性が高い方法と言わざるを得ません。

ファンダメンタルより先に株価チャートに異変が現れることが多い

実際には私たち個人投資家がファンダメンタルの変化を知る前に、株価はそれを先取りして動くケースが非常に多いものです。好業績を理由に買ったのになぜか株価は下落、不思議に思っていると後日怒涛の下方修正によりさらに株価急落でもはやどうすることもできない、というケースは枚挙に暇ありません。でもそうした銘柄の株価チャートをみると、業績下方修正前に売りサインがはっきりと出ていることが多いものです。

もしこうした銘柄を、ファンダメンタルの変化を知った段階で損切りすると、時には買い値から30%、50%も下がった水準で売るはめになります。これでははっきり言って遅すぎます。

個人投資家がファンダメンタルの変化に気付く前に株価が反応することが多いことを踏まえれば、やはりプロより情報量の少ない個人投資家がファンダメンタル分析のみで株式投資をすることはリスクが高いと言わざるを得ません。

長期的な上昇相場でなければ損切りせず保有し続けても報われない

(2-2)の見解は、個人投資家は保有期間に制限がないのだから、株価が買値から下がったら損切りなどせず、いつまでも保有し続ければよい、という考え方です。 

確かにこの考え方は戦後~バブル崩壊前までの、長期的な右肩上がりの上昇相場であればあながち間違ってはいませんでした。しかし、バブル崩壊後長期間低迷する今の日本株では、10年、20年と保有し続けていても一向に株価が買値まで戻ってくれないのが現実です。「持ち続ければいつか株価は上がる」という言葉を信じて、30年も40年も持ち続けた結果、結局株価は買値よりはるかに低いままということにもなりかねません。「時間を味方にできるのが個人投資家の強み」とよく言われますが、長期的な上昇相場でなければ、保有すればするほど株価が下がり、時間は味方どころか敵になる恐れだってあります。

銘柄選びさえしっかり行えば損切りなど必要ないとはいうものの……

(2-1)と(2-2)の考え方に共通するのは、「銘柄の選び方」が重要という点です。つまり、将来の株価上昇が見込まれる銘柄を選んで投資しておけば、そもそも損切りなど必要ないという考え方です。

しかし筆者は、「将来の株価上昇が見込まれる銘柄」を見つけ出すことは相当レベルの高い個人投資家でないと難しいと思います。相場全体が下落基調なら、そのハードルはさらに高くなります。そもそも、いくら銘柄選びに完璧を期したつもりでも、下がるときは下がるのが相場です。

もちろん将来の損切りが不要になるような精度の高い銘柄選びを目指すことは望ましいこととはいえ、必要な時には損失が大きくなる前に損切りをすべき、というのが筆者の考えです。

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