底値圏で買った株は大きな利幅を狙うのがセオリー

前回は、株価が底値圏にある場合の新規買いのタイミングの見極め方についてご説明しました。買った株は、いつかは売るもの。そこで、多少気が早いかもしれませんが今回は底値圏で買った株の売却タイミングと上昇相場での立ち回り方について考えてみようと思います。
利食いのルールとして「買値から30%上昇したら利食いする」というように買値からの上昇率基準とされている方も多くいらっしゃると思いますが、底値圏で買えた銘柄をたかだか30%の上昇で利食いしてしまうのは、筆者からすれば「もったいない」の一言です。
ひとたび底打ちすれば株価がそこから5倍、10倍にも上昇することも決して珍しくないのが株式投資の醍醐味。せっかく底値圏で買えたのなら、できるだけ利益を大きく引っ張って満足のいく水準で利食いたいものです。

どうやって「底値圏」で買えたことを知るか

とはいえ、底値圏で買ったつもりが実際にはまだ下降トレンド途中だったという可能性もあり、なんとも難しいところです。
まず問題となるのは、「本当に底値圏で買うことができたのか」という点です。こればかりは後になって株価が大きく上昇してから振り返ってみなければ分かりません。過去に底値をつけたとき(例えば、2002年秋に多くの中低位株が大底を打ったときや、2003年春に日経平均株価や多くの銘柄が底打ちをしたとき)の株価水準や新安値銘柄数、信用評価損益率、騰落レシオ、底打ち前後の株価チャートの形などを参考にして買っていくしかありません。
あくまでも筆者の個人的な感覚ですが、個別銘柄に目を向けると、2008年10月や2009年3月に日経平均株価が底打ちしたときの株価水準近辺まで下げている銘柄も多く、中にはその株価水準を大きく下回って、20年来、30年来の株価まで下がっている銘柄もあります。こうした状況からすると、いつ底打ちして2003年~2006年のような大相場が始まってもおかしくはありません。
したがって、底値圏で買えた可能性があるならば、損切りライン(例えば買ったときの直近安値)に抵触しない限りはしばらくの間持ち続けた方が、利益を大きく伸ばせる可能性が高いといえます。そもそも底値圏で買えたならば、損切りラインを割り込むことは当面ないはずです。

底打ち後の上昇規模は事前には分からない

仮に近い将来底打ちした(銘柄によってはすでに底打ちしている可能性も大いにあります)として、それが2002年10月~2003年4月型なのか、2008年10月~2009年3月型なのか、これもあとになってみなければ分かりません。2002年10月~2003年4月型は、ほぼすべての銘柄が日足、週足にとどまらず月足レベルも上昇トレンドに転換しました。一方、2008年10月~2009年3月型は、上昇トレンドへの転換が週足レベルまでにとどまった銘柄も多くありました。
前者なら非常にスケールの大きい上昇相場になりますし、後者ならそこそこの上昇で終わってしまいます。
どちらになるか分からないのだとしたら、どちらに転んでもよいように対応策を考えておくべきでしょう。