なぜ電力株は下落を続けているのか、分かりますか?

アメリカのニューヨークダウが10,000ドルを突破するなど、世界中の株式市場が堅調な動きを見せている中、日本株だけが蚊帳の外に取り残されています。それでもファーストリテイリングなど一部値がさ株の上昇に支えられた日経平均株価はまだましで、多くの個別銘柄は株価の下落が続いています。連日のように多くの年初来安値更新銘柄が出ており、日経平均株価が7,000円だった2008年10月や2009年3月のときの株価水準をあっさりと下抜けてしまう銘柄も続出しています。

例えば、電力株はここ最近非常に弱い動きが続き、11月に入ってからも年初来安値を更新しています。

EX. 9501東京電力 週足


(出所:株式会社マーケットチェッカー提供 マーケットチェッカー2

この電力株の株価の弱さの理由について、「二酸化炭素の25%削減により、電力会社のコスト負担が増すことが懸念されている」とか、「長期金利の上昇により高配当株としての電力株の魅力が減った」などという解説が新聞等に掲載されています。その一方で、「電力会社は二酸化炭素削減義務に伴うコスト負担は価格に転嫁するから業績への影響は軽微だ」とか、「長期金利の大幅な上昇は考えにくい」といったコメントもあり、いったいどうして株価が下がったのかよく分からなくなってしまいます。

電力株の株価が下がった理由など投資行動には関係ない

しかし、筆者に言わせれば、「株価が下がった理由などどうでもよい」のです。それどころか、理由を気にする結果、逆に失敗につながってしまうのです。
多くの個人投資家は、持ち株の株価が下がって含み損をかかえた状況になると、「なぜ持ち株の株価が下がったのか」と理由探しに懸命になります。
そして、持ち株を損切りせずに持ち続けるのに都合のよい理由を見つけて、「今の下げは一過性で持ち株の実力は過小評価されている。やはり我慢して持ち続けるべきだ」と、損切りせずに持ち続け、やがては塩漬け株の発生につながってしまうのです。

大手銀行株の下落も同じことがいえます。新聞やニュースなどでは、亀井大臣の「モラトリアム発言」が下げの理由とか、BISの自己資本規制強化を嫌気して下げている、いった解説がよく聞かれました。でも、それが真実かどうかは分かりませんし、そもそもどうでもよいことです。
1つだけいえる真実は、株価が下げ続けていること、言い換えれば需要(買い)を供給(売り)が上回っていること、それだけです。
もしかしたら、売りに回っている投資家は、新聞やニュースの解説とは全く違った理由で売っているかもしれないのです。