株価が値下がりしているという事実こそが投資行動基準として重要

重要なのは、株価が値下がりしているという事実、これだけです。私たち個人投資家が大失敗を避けるためには、株価の動きこそ最も注目すべき点なのです。
そして、持ち株の株価が損切りラインを下回れば何も考えずに損切りを実行し、含み益のある持ち株であっても下降トレンド入りを確認したら一部でもよいから一旦利益確定売りをしておく、という行動をとるべきです。

株価が下がる理由には「主観」や「推測」が含まれています。電力株や銀行株が売られている理由が、本当に新聞やニュースで言われている通りの理由だと断言できますか?
信頼性が100%でないのなら、その理由を当てにして投資行動を決めることがどんなに危険か、ぜひとも理解してください。
特に、持ち株の株価が下がったときの「これは市場全体の下落に伴う一時的な下落にすぎず、株価はPERやPBRからみて売られ過ぎだから近々回復に転じるでしょう」という類のコメントほど、当てにならないものはありません。それどころか、損切りしようか迷っている投資家に対しては、損切りを躊躇させる要因になってしまいます。その後、さらに株価が大きく下落して含み損が膨らんでしまう、といった例は枚挙に暇がありません。

7月以降株価下落の事実をみて適切な行動をとった投資家の傷は浅い

日本株であれば、今年の7月以降の投資行動いかんで、おそらく個人投資家の間でも運用成績に大きな差がついてしまっていると思われます。
日経平均株価こそ10,000円を挟んだ強い動きが続いていますが、個別銘柄の多くは6月~7月ごろを株価のピークとして、完全なる下降トレンドの真っ只中です。
そんな中、持ち株下落の理由を気にせず、株価が下降トレンド入りしたことを重視して持ち株をいったん売り、利益確定した個人投資家。また、損切りラインに抵触した持ち株の損切りを実行した個人投資家。この様な個人投資家はたとえ損をしても浅い傷で済んでいることでしょう。
しかしながら、「今の下げは3月からの急上昇を見せた後の当然の一服」「日本株は諸外国に比べて出遅れ感が顕著で割安」などという根拠のない理由に妙に安心感を覚えて持ち株をそのまま持ち続けた個人投資家の中には、年前半の含み益から一転、含み損を抱えてしまっている人も多いのではないでしょうか。
先日発表された信用評価損益率(11月6日申し込み時点)はマイナス15.71%でした。この数字からも、多くの個人投資家が含み損を抱えて苦しんでいる様子がうかがえます。

株価が上昇している理由、下落している理由、……本当の理由は分からないのです。唯一100%信頼できる事実として分かっているのは、今の株価がいくらで、過去から今までの株価はどのように推移しているか、ということだけです。
したがって、株価の動きを株価チャートで確認して、下降トレンドのさなかにいるのであれば手を出さない、持ち株については損切りルールを決め、損切り基準に抵触したら問答無用で損切りする、これが損失を最小限に抑えるコツです。
そうすれば、最近の株価下落も、日々膨らむ含み損におびえて過ごすのではなく、「もっと安く買えるチャンス」と余裕を持って見ていられるようになるはずです。