強気相場の底流には「AI革命の進展期待」がある
「AI相場」を象徴するとされる米半導体大手エヌビディアの株価は18日の高値から24日まで約13%下落しました。ただ、一時的なスピード調整はあっても、米国株式の強気相場をけん引してきた「メガキャップ」(時価総額の大きいハイテク株)が大きく崩れないなら、米国株は中長期で上向きトレンドを続けそうです。
2022年末に登場した生成AIの普及とその進化に伴い、多くの米国企業は(他の予算を削ってでも)AI分野に積極投資する姿勢を見せています。
一般的にCEO(最高経営責任者)はビジネスの効率化を常に考え、自社が保有しているデータの活用や業界のデータを分析し、いかに自社の事業やサービスの生産性と収益性を改善できるのかと向き合っています。こうした底流に、「AIが人類の能力を超えてくる時代」が始まりつつあるとの認識もありそうです。
図表2は、世界のAI市場規模(ハードウエア、ソフトウエア、サービス分野の合計規模)の長期見通しを示したものです。2032年には2兆7,450億ドルにまで拡大し、2022年実績(1,290億ドル)に対して約21.3倍に成長していくと予想されています。
<図表2:世界のAI市場規模は急拡大していく見通し>
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AI技術が進歩する過程で「生成AI」はチャットでの利用から広く製造業、サービス業、医療業界に波及するAGI(汎用AI)に進化して産業界の付加価値創成に寄与し、その能力は指数関数的に進化して人類の英知を抜き(「シンギュラリティ」と呼ばれる)、やがてASI(人工超知能=Artificial Super Intelligence)に進歩し人類の経済、社会、生活を変化させるとみられます。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は21日の株主総会で「AGIを目指すことが先端のAI研究者のテーマであり、5年以内、場合によっては3年ぐらいでAGIの時代が訪れる」とした上で、「AGIが脳の神経細胞のようにつながり、人間の1万倍賢くなるのがASIである」と定義しました。
AIの進化がロボティクス(ロボット技術)の進化と結びつき、経済、社会、生活の変化を加速させる動きを先読みする株式相場が見込まれます。