米インフレ・金利高止まり

 米インフレ・金利が高止まっていることが、米国株および日本株にとって重大な悪材料となっています。9月と考えられている利下げがなければ、高金利によって米国株が調整する可能性が高まります。

米インフレ率(CPI(消費者物価指数)総合・コア指数の前年比上昇率)推移:2020年1月~2024年4月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 米インフレが2%に向けて低下してこない限り、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げをしにくいと示唆していることから、このままだと9月の利下げが実現しないとの懸念があります。

 一方、日本のインフレ率も上がってきています。米国ほど高くはありませんが、以下の通り、2%台のインフレ率が実現しつつあります。

日本のインフレ率(CPI総合・コアコア指数の前年比上昇率)推移:2020年1月~2024年4月

出所:総務省統計局より楽天証券経済研究所が作成

 日米の総合インフレ率を比較すると、日本も米国と同じようにインフレが高まっていることが分かります。その割には、米国と比べ、日本の長期金利はかなり低い位置にあります。

日米の総合インフレ率比較:2020年1月~2024年4月

出所:総務省・米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 日本も米国と同じようにインフレ率が高くなってきていることを考えると、日本の長期(10年)金利が1%台に乗せてきましたが、さらなる上昇の余地があると考えられます。日本銀行(日銀)は、いずれ利上げを行うと予想しています。

今期の企業業績予想が保守的

 足元、懸念されているのが、日本の企業業績のモメンタム低下です。ちょうど、2024年3月期決算が出そろいました。前期(2024年3月期)実績は想定以上に強かったのですが、今期(2025年3月期)の企業業績(会社予想)が保守的(低め)であることが、日本株の上値を抑えています。

東証プライム上場3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期予想

出所:楽天証券経済研究所が作成、2025年3月期について会社予想を発表しない一部企業については市場予想を使用

 いつもの通り、企業の業績予想は保守的でいずれ上方修正されてくると、予想しています。それにしても、前期と比べて業績のモメンタムが低下する見通しであることは、日本株の上値を抑える要因となっています。

日本株の投資判断

 日本株は割安で、長期的には上値余地が大きいと考えていますが、目先、米国株が反落するときは、ショック安となるリスクもあり、注意が必要です。短期的には、警戒が怠れないと思います。

 時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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