相場を見て行くための「3つのチェックポイント」は変わらず。

 また、前回のレポートでは、目先の相場を見て行くためのチェックポイントとして、日米の主要株価指数の値動きに注目し、「半導体関連株(米SOX指数)の動き」、「米国の景況感(Russell2000)の動き」、「国内主力バリュー株(TOPIX(東証株価指数))の動き」の3つを挙げました。

図3 日米の主要株価指数の比較(2023年10月末を100)

出所:MARKETSPEEDIIデータを元に筆者作成

 基本的には、この3つのポイントに注目すること自体に変化はありません。

 まずは半導体関連株の動きについて見て行きます。その筆頭となっている米エヌビディア(NVDA)の状況は下の図4のようになっています。

図4 米エヌビディア(日足)とMACDの動き(2024年3月1日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 エヌビディア株については、前回のレポートで、決算発表後の株価上昇時に出現したローソク足の「出会い線」に注意と述べていました。

 出会い線は相場の流れが変化する際に現れることが多いとされ、実際に先週のエヌビディア株は売りに押される場面が目立っていたのですが、日経平均と同様に週末の1日(金)に大きく上昇したため、出会い線の警戒を一応打ち消したように見えます。

 ただ、1日(金)の高値(823.00ドル)は、決算発表直後の高値(23日の823.94ドル)に微妙に届いていませんので、週初4日の取引でここを超えられるかが注目です。

 また、それと同時に、「半導体関連株の物色の広がり」にも意識を向けておく必要がありそうです。

図5 米国市場の半導体関連銘柄の推移比較(2023年末を100)

出所:MARKETSPEEDIIデータを元に筆者作成

図6 国内市場の半導体関連銘柄の推移比較(2023年末を100とする)

出所:MARKETSPEEDIIデータを元に筆者作成

 上の図5と図6は、2023年末を100とした、日米の半導体関連銘柄の株価の推移を比較したものです。

 日米ともに、エヌビディア株以外の銘柄でも上昇しているものが多いことが分かりますが、図6にもあるように、足元では国内の半導体関連銘柄の上昇が特に目立っています。

 先端半導体の製造に欠かせない技術を持つ日本企業は多く、図6でも、チップ検査器具を手掛ける日本マイクロニクス(6871)をはじめ、フォトレジストの東京応化工業(4186)、洗浄工程で使用する超純水製造装置の野村マイクロ・サイエンス(6254)などはその代表例です。

 図6に掲載されている銘柄以外にも、樹脂封止装置のTOWA(6315)や、ウエハー搬送装置のローツェ(6323)なども足元で株価を上昇させています。

 このように、いわゆる「エヌビディア3兄弟(東京エレクトロン:8035アドバンテスト:6857ソフトバンクグループ:9984)」以外の銘柄も買われ始めるなど、物色の広がりを見せており、こうした流れが今週以降も続き、半導体相場の「第2ラウンド」が始まれば、日経平均4万円台からの上値追いのエネルギーになっていくと思われます。

 その一方で、エヌビディア株が軟調となった場合には、これらの銘柄が連れ安してしまうのか、それとも値を保つのかなども注目されそうです。

 続いて、米国の景況感や金融政策については、あまり状況は変わっておらず、Russell2000も引き続き、節目の2,100pをうかがう状況となっています。

 今週は、米2月雇用統計をはじめ、パウエルFRB議長の議会証言やベージュブックの内容などで、景況感や金融政策の思惑に変化が生じていないかをチェックしながら推移していくものと思われます。

図7 米Russell2000(日足)の動き(2024年3月1日時点)

出所:Bloombergデータを元に筆者作成

 また、TOPIXについても順調な株価推移が続いており、最高値までの距離を前回の8.5%弱から6.5%弱へと縮めています(下の図8)。

図8 TOPIX(週足)と目標値計算(2024年3月1日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成