日経平均の上昇は「そろそろ」なのか、「まだまだ」なのか

 そして、最後に日経平均4万台乗せは、「そろそろ」上昇が終わるのか、それとも「まだまだ」上昇が続くのかについて考えて行きたいと思います。

図9 日経平均(月足)の動き その1(2024年3月1日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 上の図9は、以前のレポートで紹介した日経平均の月足チャートです。

 その際には、「足元の株価上昇は終盤戦に差し掛かっている(数カ月から1年単位で天井をつける可能性がある)」こと、「その過程で4万円台乗せもあり得る」こと、「この流れで天井をつけた株価が当面の高値になりそうなこと」、そして、「次に高値を更新するのに時間が掛かる傾向があること」について指摘しましたが、今回については、同じ月足チャートで株価の上昇局面にスポットを当ててみたいと思います。

図10 日経平均(月足)の動き その2(2024年3月1日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 上の図10では、日経平均が2000年に入ってから大きく上昇したそれぞれの局面における、株価の上げ幅と上昇率を掲載しています。

 過去の上げ幅と上昇率を見ると、以下の通りです。

  1. 2020年3月~2021年9月…1万4,439円(88%)
  2. 2016年6月~2018年10月…9,584円(64%)
  3. 2012年12月~2015年6月…1万1,576円(123%)
  4. 2003年4月~2007年2月…1万697円(140%)

 足元の株価上昇は、2023年1月を起点にすると、先週末時点で1万4,329円の上げ幅となっており、これまででもっとも上げ幅の大きかった[1](1万4,439円)に迫っていますので、株価を上昇幅で見ると、「そろそろ上昇が止まるかも」ということになります。

 ただし、上昇率で見ると、足元では55%となっているため、過去の上昇率と比べると「まだまだ上昇できるかも」ということになります。先ほどの図2の目標値計算に当てはめて計算すると、E計算値[2]の4万2,863円までの上昇率は67.04%、E計算値の4万5,070円までの上昇率は75.64%となります。

 さらに、過去の上昇率に当てはめて計算した日経平均は、[1]の88%上昇で4万8,242円、[3]の123%上昇で5万7,224円、[4]の140%上昇で6万1,586円となります。

とはいえ、過去の相場上昇の局面を捉えると、

  1. 「コロナ・ショック」の底打ち&米国など各国の大規模な金融緩和や財政出動
  2. 「チャイナ・ショック」、「ブリグジット」の底打ち
  3. 「リーマン・ショック」後の株価低迷&「アベノミクス」の期待
  4. 「ITバブル崩壊」の底打ち&小泉政権の構造改革期待

 といった具合に、それぞれ「〇〇ショック」と呼ばれる大きな株価下落後の大底からの株価上昇が相場の起点となっています。しかし、今回については、「米金融政策の転換観測」が起点となっており、過去と比べると、「株が売られまくった感」がない中での上昇相場入りとなっています。

 足元の株価上昇は日本株の再評価や生成AIというテーマが株価を押し上げているものの、[1]や[2]のような100%を超える上昇率までを現在の相場の流れの延長線上で織り込むのはちょっと難しいかもしれません。

 もっとも、日経平均が1,000円動いた時、株価が1万円だと10%の変動率ですが、4万円だと2.5%となり、株価水準が切り上がることによって、同じ上昇幅でもインパクトは小さくなっていきます。

 そのため、これまでの上昇幅を超える日経平均の上値トライは十分に想定されますし、一日のうちに数百円から千円を超えるような株価の上げ下げを見せる日が今後増えてくるかもしれないことなどを意識しつつ、相場に臨む必要がありそうです。