2024年相場を迎えた先週の国内株市場ですが、2日間と短い営業日数の中、週末5日(金)の日経平均株価は3万3,377円で取引を終え、大納会だった昨年(2023年)末終値(3万3,464円)からは87円安となりました。

先週の日本株は意外と堅調

 週足ベースで見た日経平均は小幅ながらマイナスのスタートとなってしまいましたが、実は、日本株全体で見ると、意外と堅調な様子がうかがえます。

図1 日経平均(日足)とMACDの動き(2023年1月5日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 上の図1で先週の日経平均の状況を振り返ると、注目すべきは大発会1月4日(木)の値動きです。

 この日は、前年末終値比で770円安まで下落する場面があったものの、その後は下げ幅を縮小し、結局175円安でこの日の取引を終えています。これにより、ローソク足の形は下ヒゲの長い陽線で、ヒゲの長さは595円と大きくなっています。

 一般的に、ヒゲの長さは「相場の揺らいだ気持ち」を表すとされていますが、この日につけた安値(3万2,693円)で、50日移動平均線がサポートとして機能したほか、終値も25日移動平均線を上回っています。

 日米の株式市場は昨年の11月から約2カ月間にわたって上昇基調を描いていきましたが、25日移動平均線が1カ月間の値動きの中心線、50日移動平均がその倍の2カ月間の値動きの中心線を意味していますので、ここまでの株価の調整は想定の範囲内と見ることができます。

 ちなみに、チャートを過去に遡って見ても、ここ数カ月間の日経平均は50日移動平均線がサポートとなっていることが分かります。

 さらに、先週のTOPIX(東証株価指数)の動きをチェックすると、より日本株の堅調さが感じられます。

図2 TOPIX(日足)とMACDの動き(2023年1月5日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 TOPIXも4日(木)のローソク足が下ヒゲの長い陽線となっていますが、こちらも50日移動平均線がサポートとなっているほか、実体の部分は日経平均よりも長くなっています。また、週足ベースのTOPIXは何気に4週連続で上昇を続けています。

 さらに、翌5日(金)の上昇では、直近高値(9月15日と11月20日)どうしを結んだ「上値ライン」を上抜けているほか、下段のMACDも上向きを強めつつあり、TOPIXは上方向への意識を強めつつあるように見えます。

 確かに、大発会の4日(木)に一時的に株価が急落したインパクトの大きさが印象的ではあったのですが、実際のところ、「先週の日本株は結構しっかりしていた」と言えそうです。

日本株を支えた「物色の広がり」の継続が焦点

図3 東証プライム市場における値上がり/値下がり銘柄数の直近の状況

出所:東証WEBサイト等を元に筆者作成

 そこで、先週の日本株の堅調さの背景についても考えてみたいと思います。

 上の図3は東証プライム市場における、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の状況を示したものですが、年末年始の2週間で、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数よりも少なかった日が1日しかなく、株価が下落した日も、値上がり銘柄数の方が多くなっており、幅広い銘柄が買われていたことが分かります。

 実際に、先週の銘柄物色の動向をざっくり確認していくと、元旦に北陸を襲った地震の影響で、日本銀行の金融政策の修正が遅れるとの見方が高まり、為替市場で円安が進んだことから、輸出関連株が買われたほか、米国の金利上昇を受けて銀行株が上昇、さらに、中東情勢を受けた地政学的要因で海運株が買われたほか、いわゆるNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)特需で証券株や高配株などにも買いが向かいました。

 さらに、まもなく迎える企業決算シーズンや、来週15日(月)には東証から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業」リストが公表される予定など、企業業績への関心度が高まるタイミングでもあります。

 まずは、今週に予定されている、ファースト・リテイリング(9983)セブン&アイホールディングス(3382)安川電機(6506)などの国内企業決算の動向が注目され、日本株の底堅さが試される週になりそうです。