今日の為替ウォーキング

今日の一言

重要なのは勝率ではなく、トータルの損益

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FRBは、利上げサイクルを終了したのか?

 FRBのタカ派メンバーは「仕事はまだ完了していない」と言うが、ハト派メンバーは、政策には遅効効果があり、行き過ぎた利上げは経済を破壊すると主張する。

 もし「金利は景気抑制水準まで高くなった」とFRBが考えているならば、なぜ米国景気見通しがこれほどまでに強いままなのか。「米国景気はまだ過熱状態にある」とFRBが考えるならば、さらに利上げの必要があることになる。

 あるいは、FRBとしては充分すぎるほど引き締めたつもりだったが、中立金利(インフレにもデフレにもならない金利水準)が以前より上昇しているために、以前考えていたほどには引き締め状態になっていないことも考えられる。

 11月FOMC(米連邦公開市場委員会)は利上げ見送りの公算が大きいが、FOMCがたとえこのまま利上げサイクルをフェードアウトするとしても、すぐに利下げ始まるわけではない。逆に利下げ開始時期は確実に遠のき、「長期間にわたる高金利」の時代がしばらく続くことになるだろう。

 FRBは、1970年代に金融引き締めを最後まで続けなかったためにインフレ再発を招いたというトラウマがある。したがって成長率の顕著に鈍化を確認するまでは、金融緩和に踏み切ることはできないだろう。

 しかし、経済データから明らかなように、米国経済は予想よりはるかに好調だ。好調の背景には、家計部門が予想以上に消費に積極的なことがある。雇用の安定や求人の多さなどが、将来に対する不安をやわらげ、貯蓄よりも支出を増やす原動力となっているのだ。

 とはいえ、それはあくまでも一面だ。実際は支出が前倒しされているだけかもしれない。2024年には、その反動で急速な消費の落ち込みが発生するリスクが高まっている。積極的な消費行動は今年が最後で、来年第1四半期には、雇用市場の就業者数がマイナスになる可能性が高い。

 皮肉なことに、データが強ければ強いほど、マーケットはハードランディングの確率を高めている。FRBがさらに強い手段に訴えることで、米経済の墜落事故の可能性が高まると予想しているからだ。金利市場が、2024年末のFF金利(政策金利)が2.625%(現在5.50%)まで低下すると予想しているのは、リセッションを織り込んでいるからだろう。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成