供給不足……でもない

 他のコモディティ銘柄でも起こり得る話ですが、生産量と消費量の関係が供給不足(生産<消費)になると価格が上昇することがあります。以下は綿花価格の急騰時における綿花の供給量と消費量の推移です。

図:綿花の生産量と消費量の推移

単位:1,000ポンド
出所:USDA(米農務省)のデータより筆者作成

 綿花価格が急騰しはじめた2010年と、歴史的な高値をつけた2011年の綿花の生産量と消費量の関係は、供給過剰生産>消費)でした。つまり、綿花価格の急騰の要因は供給不足ではありませんでした。供給過剰になったのは、綿花価格が上昇したことで、綿花を高値で売ることができるため生産者が生産量を増やし、同時に、高値の綿花を買うことを控える動きが強まって消費量が減少したためだと考えられます。