「お金持ち」は効率よく、価値と利益を生んだ人

 さて、会社は良い商品やサービス(価値)をつくるために、いろいろなところでお金を使います。モノなら材料が必要なので、材料を買います。電気やガス、石油のようなエネルギーも使います。

 商品を納品するために車を買い、走らせるためにガソリンを使います。いろいろな「社会の資源」を消費して、お客さまに良い商品やサービスを届けます。

 そこで必要なのが、会社はどのくらいの価値をつくり出したのか、その価値をつくるためにどのくらい資源を消費したのかということの記録です。

会社がお客さまのためにつくり出した価値 - 社会資源を消費した分 = 利益

 この式を見ると、利益が大きい会社ほど、たくさんのお客さまが必要としているものを提供して、あんまり資源を使ってないということになるので、社会にとってありがたい存在だということがわかります。

 そんな会社を経営してお金持ちになった人は、「効率よく、価値と利益を生んだ人」と言えるのです。

 もう一つ注目して欲しいことは、この式が「社会の欠乏状態(みんなが欲しいのにない!)を解消する」システムになっているということです。

 例えば、世の中にチョコレートが足らないとします。みんな食べたいだけのチョコレートが作られていません。チョコレートはカカオ豆から作るんだけど、カカオ豆の価格が安いから農家が作りたがらない。すると、私たちはチョコレートを食べたくても食べられない。

 チョコレート会社はどうするかというと、チョコレートの価格を引き上げるのです。だって、欲しい人がたくさんいるのですから、値上げをしても買ってもらえるはずです。そうすると売り上げが大きくなる。

 式の左側ですね。右側は変わらないから、利益が大きくなる。まだ、この時点ではチョコレートの量は足りていません。でも、会社は利益が増えたから、カカオ豆を高い値段でも買えるようになる。

 それを見た別の農家が、それならうちもカカオ豆を作りたいと思う。カカオ豆の量が増えて、価格が下がり、私たちが食べたい量のチョコレートが買える値段で供給されるようになる。

 このように価値を数値化させるメカニズムは、私たちの欠乏(もっと欲しい!)状態を解消し、必要なものが全部つくられている状態をつくり出すのです。

 会社も農家もお客さまのためにいいことをして、社会全体が満足する。これって素晴らしいシステムでしょう?