欧州景気に回復の兆し

 欧州では昨年、ロシア産エネルギー輸入が急減したことによるガス価格急騰で、深刻なインフレが起こりました。一時スタグフレーション(インフレを伴う景気後退)に陥る懸念が高まっていました。

 ところが、足元、天然ガス価格がウクライナ侵攻以前の水準に急落すると、ドイツを中心に景気が持ち直す兆しが強まっています。

 欧州では、ロシア以外からのエネルギー供給が増えたこと、記録的暖冬で暖房需要が減ったことから、天然ガス市況がウクライナ危機以前の水準に急落しています。

NYMEX天然ガス先物(期近)週次推移:2021年1月4日~2023年2月3日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物も同様に、ウクライナ危機以前の水準に低下しています。欧米では、景気減速とエネルギー価格急落によって、今年は「脱インフレ」が進むと考えられます。

WTI原油先物(期近)日次推移:2021年1月4日~2023年2月3日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

中国景気にも回復の兆し

 感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ政策」を解除した中国も、急速に景気回復の波に乗りつつあります。

 ゼロコロナ政策解除直後には、感染の急拡大で景気が悪化する不安も出ましたが、国民の大半が感染することで自然免疫が拡大し、行動制限なく活動できるようになってきていると推定されます。

 欧米で「脱インフレ」が進む中、中国および日本では「脱コロナ」または「ウィズコロナ」が進む見込みです。世界景気回復期待の高まりを背景に、「世界景気敏感株」である日本株の反発が続くと考えています。