もうひとつの米国株投資戦略:クオリティ高配当指数に注目

 不透明な相場環境が当面も続く可能性がある中、長期投資の対象として「クオリティ高配当指数」(S&P500 Quality High Dividend Index)に注目したいと思います。

 同指数はS&Pダウジョーンズ社が、S&P500種指数を構成する銘柄群の中から、クオリティスコア(収益の創出力、収益の質、財務の健全性など)の高い上位200銘柄と配当利回りの高い上位200銘柄の共通銘柄群を選別して投資対象としています。いわば「優良な経営と高配当の両方の特性を兼ね備えた銘柄群」と言えます(現在は77銘柄:毎年6月と12月にリバランス)。

 こうした銘柄選別により、高配当株投資における「減配リスク」を可能な限り排除し、配当の持続性や増配の可能性を反映する安定したパフォーマンスを期待することができます。

 図表2は、過去約30年(1994年末=100)のクオリティ高配当指数、配当貴族指数、S&P500指数のトータルリターン指数(配当込み総収益指数)のパフォーマンスを比較したものです。

<図表2>クオリティ高配当指数の総収益推移を検証する

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1994年末~2023年12月末)

 図表2が示すとおり、クオリティ高配当指数のトータルリターンが配当貴族指数やS&P500指数を大きく上回ってきたことがわかります。特に、クオリティ高配当指数は、ITバブル崩壊やリーマンショックなど相場が大きく下落した局面で「下値抵抗力」や「反発力」で秀でた実績をみせてきました。

 例えば、リーマンショック(2008年)を例に取ってみても、下落を抑制しつつ、その後は株価回復力を発揮してアウトパフォームしました。

 最近のクオリティ高配当指数の上位構成銘柄をみると、S&P500と比較してハイテク(情報技術)の比率は低く、生活必需品、エネルギー、資本財・サービスなどの比率が高いことが特徴となっています(2022年末時点)。平均配当利回りは約3.3%、予想PER(株価収益率)は約13.0倍となっています(25日時点)。