米国高配当株3:シティグループ(C)

 世界160以上の国と地域において、個人、法人、政府機関などのお客さまに、幅広い金融商品とサービスを提供している世界的な大手金融機関です。

 グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)の一行で、200年以上の間、世界中で金融サービスを提供し続けており、日本でも1902年に横浜に最初の支店を開設して以来、現在に至るまで事業を展開しています。

 時価総額は950億ドルで、日本円で約12兆1,600億円となっています(1USD=128円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「機関投資家事業(Institutional Clients Group)」で、続いて「個人金融資産管理事業(Personal Banking and Wealth Management)」、「レガシーフランチャイズ事業(Legacy Franchises)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「機関投資家事業」では、投資銀行業務・プライベートバンク・証券サービスなどのサービスを提供し、「個人金融資産管理事業」では国内リテールサービスや、海外プライベートバンキングサービスを提供しています。 

競合他社

 競合他社として、投資銀行および投資顧問会社であるエバーコア(EVR)、米国の独立系ファイナンシャルアドバイザーや金融機関のファイナンシャルアドバイザーを対象に、ブローカレッジおよび投資顧問サービスのプラットフォームを提供するブローカー・ディーラー企業であるLPLインベストメント・ホールディングス(LPLA)、テクノロジー対応のマーケットメーカーおよび実行サービスを提供する持株会社であるヴァーチュ・フィナンシャル(VIRT)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年初に下落し、4月以降は横ばいで推移しており、配当も2019年以降横ばいで推移しています。

 ロシアのウクライナ侵攻以降、シティの株価は下降し、現在低位で推移しています。ロシアでの事業リスクや、外部環境悪化による業績の低下などさまざまな要因により株価が下落しました。

 しかし、配当は横ばいを維持していることから、4%近い利回りとなった今の水準は魅力的な水準ではないでしょうか。

業績動向

 2023年1月13日開示の四半期決算では、売上は市場予想を上回りましたが、1株利益は市場予想を下回りました。

 先行きの経済悪化に備えるため6億4,000万ドルの引当金を積み増したほか、取引件数の急減により投資銀行部門の収入が減少したことが影響しました。

 会社側は「基本シナリオでは、依然として2023年後半の小幅な景気後退を見込んでいる」としながらも、消費者と企業のバランスシートは健全で、コアインフレは高止まりするとの見通しを示しており、当面は人員抑制などで外部環境の悪化に対応していく方針です。    

 次回は2023年4月14日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 マクロ環境の悪化が業績に影響を及ぼしており、今後の世界経済の悪化次第で業績回復の時期が後ずれする可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.04ドル
配当利回り:4.08%
株価:49.91ドル(約6,400円)

 この銘柄、権利落ち日は2月3日です(権利実施は2月24日の予定)。

 配当利回りは1月16日時点で4.08%、株価は49.91ドルでおよそ6,400円から購入できます(1USD=128円計算)。

 2020年からの最高値は81.91ドル、最安値は35.39ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:シェル(SHEL)

 エクソンモービルやBPなどと同様に、かつて世界の石油を独占していたセブンシスターズを起源とする、欧州石油メジャーです。

 2005年にロイヤル・ダッチとシェルが合併し「ロイヤル・ダッチ・シェル」が誕生し、その後社名を変更し現在の「シェル」となりました。

 時価総額は2,063億ドルで、日本円で約26兆4,000億円となっています(1USD=128円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「アップストリーム事業(Upstream)」、「統合ガス事業(Integrated Gas)」、「マーケティング事業(Marketing)」、「化成品事業(Chemicals and Products)」、「再生可能エネルギーソリューション事業(Renewables and Energy Solutions)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「アップストリーム事業」では原油の探鉱・開発・生産までの原油の開発段階を行っており、「統合ガス事業」では、LNGやGTL燃料(Gas to Liquids、液化天然ガス)を取り扱っています。

株式の注目ポイント

 株価は昨年の高値近辺で推移しており、配当は変動があるものの増配が予定されています。

 昨年、資源価格下落などの影響から夏場に株価が下落しましたが、業績は好調であったことや、自社株買い、海外での企業買収などを行うことで世界全体の株価がさえない中でもシェルの株価は回復し、現在は昨年の高値近辺の水準まで戻っています。

 今後も、業績は堅調に推移する予想であり、それに伴って安定的な株価で推移することが期待されます。 

業績動向

 2022年10月27日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 前四半期と比較すると主要事業の業績は悪化したものの、それでもコロナ発生前の業績を上回る水準を維持しています。現在、事業の選択と集中をすすめると同時に、脱炭素の動きも加速させており、環境に配慮しつつ業績を拡大させることが期待されます。

 次回2023年2月2日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。  

注意点

 株価は堅調に推移していますが、今後世界的な景気後退による資源需要低迷の際は業績が大きく悪化し、株価下落につながる恐れがあることには注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.0ドル
配当利回り:3.35%
株価:59.60ドル(約7,600円)

 この銘柄、権利落ち日は2月中旬の予定(権利実施は3月下旬の予定)です。

 配当利回りは1月16日時点で3.35%、株価は59.60ドルでおよそ7,600円から購入できます(1USD=128円計算)。

 2020年からの最高値は61.55ドル、最安値は21.62ドルとなっています(終値ベース)。