米国高配当株1:サウスウェスト・ガス・HD(SWX)

 傘下のSouthwest Gas CorporationやMountainWest Pipelines Holding Company、Centuri Group, Incなどを通してネバダ州ラスベガスを拠点にアリゾナ州、カリフォルニア州、ユタ州、ワイオミング州、コロラド州などでエネルギーインフラサービスを提供しています。

 時価総額は44億7,000ドルで、日本円で約5,700億円となっています(1USD=128円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「天然ガス配給事業(natural gas distribution)」で、続いて「公共インフラ事業(Utility Infrastructure Services)」、「パイプライン&貯蔵事業(Pipeline and Storage)」となります。

「天然ガス配給事業」ではSouthwest Gas Corporationを通じて天然ガスの購入、配給、輸送を行っており、「公共インフラ事業」ではガス会社および電気事業者に対し、エネルギー・ネットワークの設置、交換、修理および保守を行う事業を行っています。

競合他社

 競合他社として、規制された天然ガスの配給、パイプラインおよび貯蔵事業を行うアトモス・エナジー(ATO)、主に天然ガスの生産、収集、輸送、貯蔵、流通を行う総合エネルギー会社であるナショナル・フューエル・ガス(NFG)、ニュージャージー州南部の天然ガスの配給を行うサウス・ジャージー・インダストリーズ(SJI)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は1年前と同程度での水準で推移しており、配当は2007年以降毎年増配をしています。

 インフレによる業績悪化やハリケーン復旧作業の減少などが影響し昨年90ドル台まで上昇していた株価も60ドル台まで下落しました。

 現在は、Centuri Group, Incをスピンオフし、MountainWest Pipelines Holding CompanyをWilliams Companies Incに売却する一方で、「天然ガス配給事業」での天然ガスにクリーンな水素を注入し、二酸化炭素排出量を削減する水素ブレンディングプロジェクトの推進など選択と集中を進めており、今後の業績回復と株価回復が期待されます。

業績動向

 2022年11月9日開示の四半期決算では、売上は市場予想を上回りましたが、1株利益は市場予想を下回りました。

 インフレによる燃料費の増加、Centuri Group, Inc 傘下のRiggs Distler買収にともなう支払利息の増加や、ハリケーン復旧作業の減少により1株利益が2四半期連続で市場予想を下回りました。

 しかし、インフレの鎮静化が期待されることや主要事業である「天然ガス配給事業」で今後も顧客拡大、システム改善、パイプ交換プログラムを進めていくことで効率化を図っていくことを計画しており、今後の業績拡大が期待されます。

 次回2023年2月28日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 インフレの影響が長引いた際に、業績の回復が遅くなる可能性には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.48ドル
配当利回り:3.75%
株価:65.99ドル(約8,400円)

 この銘柄、権利落ち日は2月14日(権利実施は3月1日)です。

 配当利回りは1月16日時点で3.75%、株価は65.99ドルでおよそ8,400円から購入できます(1USD=128円計算)。

 2020年からの最高値は94.14ドル、最安値は52.27ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:アーチロック(AROC)

 天然ガス圧縮によるエネルギー中流サービスを手掛ける米国のエネルギーインフラ企業です。

 米国のエネルギー企業に天然ガス圧縮サービスを提供するトップ企業であり、圧縮装置を既に所有する企業にはメンテナンスサービスを提供する事業を展開しています。

 時価総額は15億ドルで、日本円で約1,900億円となっています(1USD=128円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「契約業務事業(Contract operations)」で、続いて「アフターマーケットサービス事業(Aftermarket services)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「契約業務事業」では、顧客ニーズに応じた天然ガス圧縮サービスを提供しており、「アフターマーケットサービス事業」では圧縮機を保有している顧客向けに細かい部品からサポートできる体制を整え顧客からのニーズに対応しています。

競合他社

 競合他社として、北米の非在来型石油や天然ガス資源の探査・生産を行い、上流の石油およびガス会社に水圧破砕と他の補完的なサービスを提供するプロペトロ・ホールディング(PUMP)、主に独立系および油田会社に対して、さまざまな油田サービスおよび機器を提供するRPC(RES)、多様な海洋サービス船隊を通じて、世界のオフショアエネルギー産業にオフショア海洋サポートおよび輸送サービスを提供するタイドウォーター(TDW)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年9月以降、上昇して推移しており、配当は2019年以降横ばいで推移しています。

 中心事業である「契約業務事業」の業績が拡大していることから売上が拡大し、それに伴って株価も上昇しています。

 会社側は、2022年にインフレ削減法(Inflation Reduction Act)が成立したことで、今後さらに排出量管理のニーズが高まると想定し、アーチロックの提供するメタン排出管理ソリューションが今後さらに業績を拡大させると予想しています。これに伴い今後さらに株価が上昇することが期待されます。

業績動向

 2022年11月2日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回ったものの売上は市場予想を下回りました。決算発表以降、株価は大きく上昇し現在まで20%近く上がって推移しています。

 天然ガス圧縮設備が高稼働で推移しており、2022年10月末で90%の稼働率ですが今後さらに稼働率が高まると会社側も想定しています。今後もクリーンエネルギーである天然ガスの需要は続くと見立て、好調な業績を背景に株主還元を拡大することも検討しています。

 次回は2023年2月23日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 米国が極端な景気悪化に陥った際に、天然ガスの需要が大きく落ち込む可能性があり、その際にアーチロックの業績に大きく影響を与える可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.58ドル
配当利回り:6.08%
株価:9.525ドル(約1,200円)

 この銘柄、権利落ち日は2月上旬の予定(権利実施は2月中旬の予定)です。

 配当利回りは1月16日時点で6.08%、株価は9.525ドルでおよそ1,200円から購入できます(1USD=128円計算)。

 2020年3月からの最高値は10.70ドル、最安値は2.10ドルとなっています(終値ベース)。