日本株にとって重大リスクは「デフレ逆戻り」

 日本株にとってのリスクはインフレが長期化することではありません。今のインフレが一時的で、来年再びデフレに戻ってしまうことこそ、日本株にとって重大なリスクです。

 今年3.7%まで上昇したインフレですが、来年後半には再び1%台に低下するとの見方が大勢です。なぜならば、日本のインフレを押し上げているほとんどが「輸入インフレ」で、国内にインフレ要因がほとんどないからです。

 輸入品の価格上昇を起爆剤に、物価全般に上昇機運が出ていることが、長年のデフレに苦しんできた日本企業にとって干天の慈雨となっています。

 ただし、物価上昇が定着する前に元のデフレに戻ってしまうリスクもあります。今上昇している消費者物価指数は、物価の遅行指標で、先行指標であるエネルギーや海運市況は既に大きく下がっているからです。

 来年後半にはエネルギー価格は前年比でマイナスになってくる可能性が高くなりました。そうなると、日本のインフレ率が1%台に低下する可能性は高いと思います。

 それでも、たとえ1%台でも、プラスのインフレが得られるならば、まだましです。世界景気が想定以上に下がり、資源価格がさらに下がり、円高が進み、日本のインフレ率が再びマイナスになること(デフレ逆戻り)が、日本株にとって最大のリスクと思います。

 消費者にとっては、モノやサービスの価格が下がり続ける方が良いですが、日本の企業業績や株価にとっては、極めてネガティブな影響が及ぶことになります。

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