CPIはインフレの遅行指標、先行指標は既に大きく下落

 来年後半に、日本のインフレ率が1%台に低下すると予想する最大の根拠は、インフレの先行指標が既に大きく下落しているからです。

 具体的にいうと、原油先物や海運市況などの先行指標が大きく下がっている影響が、来年後半のCPI(消費者物価指数)に少しずつ表れてくると考えられます。

WTI原油先物(期近)の動き:2021年1月4日~2022年12月13日

出所:QUICKより作成

 上のグラフで注目していただきたいのは、WTI原油先物の「前年比の騰落率」です。最近、前年比プラスマイナス0%近くで動いています。

 このままWTI原油先物が70ドル台で推移すると来年3月くらいに前年比の騰落率は、マイナス30%以上となります。このまま推移すると、来年には原油がインフレを押し下げる要因になります。

 最初に述べた通り、CPIはインフレが最も遅く反映される指標です。最初、原油価格や海運市況が上がっても、それは小売価格にはなかなか転嫁されません。インフレの先行指標(資源価格や海運市況)が大きく上昇しても、それはすぐには小売価格に反映されないのです。

 ただし、資源価格や海運市況が上がってから半年~1年くらいたつと、消費者物価の上昇に遅れて反映されるようになります。それが今、日本で起こっていることです。それで今、日本のCPIの上昇率が高くなっています。

 一方で、インフレの先行指標である原油やガス先物は既に下落しています。それが、日本の消費者物価指数に反映されるのには、半年~1年かかります。ガソリン価格への反映は比較的早いですが、電力料金に反映されるのはかなり遅くなります。

 いずれにしろ、日本のCPIも遅れて低下してくることが見込まれます。それが、来年後半に日本のインフレ率が1%台に低下すると予想する理由です。

 ここから先は、インフレが株価に与える影響について、解説します。最初に、均等インフレを前提に、影響を解説します。