米国高配当株1:インターナショナル・ゲーム・テクノロジー(IGT)

 宝くじ管理サービス、オンラインおよびインスタント宝くじシステム、ゲーミングシステム、電子ゲーム機、デジタルゲームなど、革新的なゲーム技術製品およびサービスを運営・提供しています。世界100カ国以上で現地法人を設立し、政府および規制当局と良好な関係を築き事業展開しています。

 時価総額は35億ドルで、日本円で約5,110億円となっています(USD=146円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「グローバルロッタリー(宝くじ)事業(Global Lottery)」で、続いて「グローバルゲーミング事業(Global Gaming)」、「デジタル&ベッティング事業(Digital&Betting)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「グローバルロッタリー(宝くじ)事業」では全米版宝くじであるPowerballにおいて、管理サービスを提供するとともに世界約80カ国でも同様のサービス提供をしています。また、「グローバルゲーミング事業」では、440 以上のゲーミングライセンスを保有し、カジノ事業者や政府機関と取引を行っています。

競合他社

 競合他社として、ラスベガス地元、ラスベガスのダウンタウン、中西部・南部の三つの事業セグメントで事業を展開する複数管轄のゲーム会社であるボイド・ゲーミング(BYD)、デジタルスポーツエンターテインメントおよびゲーミングの会社であるドラフト・キングス(DKNG)、居酒屋のゲーム、カジノ、リゾートの運営を含む分散型ゲームに焦点を当てるゲーム会社のグループであるゴールデン・エンターテインメント(GDEN)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初から下落して推移していますが、配当は今年に入って四半期配当を復活しました。

 業績は比較的好調であり、自社株買いを行うなどの株主還元を行っています。しかし、世界的な株価調整の影響を受けて、現在株価はコロナ発生前の水準まで下落しています。

 そのため、株価下落前の利回りは3%台でしたが、現在は5%近辺で推移しています。長期的な投資で、利回り5%の水準であれば配当目的の投資対象としては選択肢の一つではないでしょうか。

業績動向

 2022年8月2日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回りましたが、売上は市場予想通りの結果となりました。

 イタリアのゲーミングホール閉鎖の影響もあり、売り上げは前年同期比を下回りましたが、「Global Gaming」において米国とカナダでの業績が好調なこともあり、利益率は改善しています。会社側は、景気後退期における宝くじの売上高の変動の少なさは強みであるとしており、今後世界的な不況が起きたとしても影響は少なくなると予想しています。

 また、ゲームもリーマンショックのときにあまり売上が落ちなかったことから、不況に強い事業であると会社側は予想しています。

 次回2022年11月16日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 不況時に売り上げはあまり落ち込んでいないものの、新型コロナウイルスの流行が発生してからゲームの売り上げが著しく落ち込んだ時期があり、パンデミックなどのケースでは従来とは異なる株価の動きをすることがあるので注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.8ドル
配当利回り:4.62%
株価:17.31ドル(約146円)

 この銘柄、権利落ち日は11月下旬予定(権利実施は12月上旬予定)です。

 配当利回りは10月13日時点で4.62%、株価は17.31ドルでおよそ2,500円から購入できます(1USD=146円計算)。

 2019年からの最高値は32.26ドル、最安値は3.79ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)

 カナダを中心に金鉱山を保有し、金の採掘などの事業を展開しています。

 カナダ以外でも、オーストラリア、フィンランド、メキシコ、米国、コロンビアで事業を展開しており、世界第三位の金の生産量を誇る企業です。

 時価総額は191億ドルで、日本円で約2兆8,000億円となっています(USD=146円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は「金鉱山開発事業(exploration and production of gold)」の単一事業です。

 その事業では、LaRonde mine、Goldex mine、Meliadine mine、Hope Bay mineなど世界各国の鉱山にて金の探鉱と生産をおこなっています。

競合他社

 競合他社として、カナダを拠点とする金と銅の生産者であるバリック・ゴールド(GOLD)、貴金属のストリームとロイヤルティ会社であるロイヤル・ゴールド(RGLD)、米州にある貴金属資源事業の運営・取得・探鉱・開発に従事するカナダの資源会社であるSSRマイニング(SSRM)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初から下落して推移していますが、配当は1983年以降一貫して出し続けており、今年に入ってから増配を行っています。

 アグニコ・イーグル・マインズは、今年の2月8日にKirkland Lake Gold Ltdとの合併が完了し、それに伴い業績が拡大しています。しかし、それ以上にインフレによる業績への懸念から株価が下落しています。そのため、ここ数年1~2%台で推移していた配当利回りが3%台まで上昇しています。

 配当利回りが3%台となるのも約10年ぶりで、業績の変動が比較的少ない銘柄であり、このタイミングで配当を目的として保有するのもよいのではないでしょうか。

業績動向

 2022年7月27日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 インフレによるコスト増がありながらも、為替が業績にプラスに働いたことやインフレのヘッジプログラムを用いたことでコスト増を相殺することができました。

 会社は今後もインフレが続くと予想していますが、コストダウンとヘッジプログラムを有効活用することでインフレに対応していくとしており、次回以降の決算でも堅調な業績が期待されます。

 次回は2022年10月26日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 露天掘りなどによる採掘は環境への影響が懸念されており、環境への配慮から各国が何らかの対策を取ったときに、その内容によってはアグニコ・イーグル・マインズの事業に影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.6ドル
配当利回り:3.81%
株価:41.97ドル(約146円)

 この銘柄、権利落ち日は11月30日(権利実施は12月15日)です。

 配当利回りは10月13日時点で3.81%、株価は41.97ドルでおよそ6,100円から購入できます(1USD=146円計算)。

 2019年3月からの最高値は86.47ドル、最安値は36.36ドルとなっています(終値ベース)。