米国高配当株3:エヴァジー(EVRG)

 ミズーリ州・カンザス州において電力の発電、送電、配電、販売を行う電力会社を保有する持ち株会社です。

 傘下のEvergy Kansas Central、Evergy Metro、Evergy Missouri West、Evergy Transmission Companyなどを通じて事業展開をしており、個人・商業施設・工場などにサービス提供しています。

 時価総額は126億ドルで、日本円で約1兆8,500億円となっています(USD=146円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は、「エヴァジー(Evergy)」が提供する発電・送配電サービスの単一事業となります。

 その中で、顧客別売上高の中心は「居住者用事業(Residential)」で、続いて「商業用事業(Commercial)」、「産業用事業(Industrial)」、「送電事業(Transmission)」、「卸売事業(Wholesale)」、「その他事業(Other)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

 顧客別売上高において、全ての項目で前年同期比の水準を上回って推移しており、かつ2020年・2019年の同時期と比較しても上回っており着実に業績を拡大させています。

競合他社

 競合他社として、電力生産および小売配電事業を行う総合エネルギー持株会社であるエンタージ(ETR)、消費者サービス企業であり、米国およびカナダ全土でエネルギーおよび関連製品・サービスの生産・販売に従事するNRGエナジー(NRG)、顧客、商業、地域社会に不可欠な資源を提供する電力と発電の総合小売事業を行う企業であるビストラ・コープ(VST)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は2018年から毎年増配しています。株価は年初の水準を下回っているものの、営んでいる事業柄、株価の変動は比較的少なくなっています。

 パナソニックがリチウムイオン電池製造工場をカンザス州に設立する予定であったり、EVバッテリー製造地域として地位を確立させつつあったりすることから、エヴァジーが事業を行う地域の経済動向は引き続き堅調であると会社側も発表しており、それに伴って株価も堅調に推移することが予想されます。

業績動向

 2022年8月4日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 好天による電力需要の増加や、送電利ザヤの改善などにより好調な業績となりました。

 2022年から2026年にかけて設備投資を計画しており、同時に年6~8%のEPS(1株当たり利益)上昇を目指すとエヴァジーは発表しています。また、EPSの上昇とともに増配も目指していくとしており、今後も業績が堅調に推移するだろうと予想するが故のエヴァジーの計画だと考えられます。

 次回は2022年11月2日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 石炭での発電から風力発電への移行を試みていますが、そうした再生可能エネルギーへの移行をスムーズに進めていくことができるかどうかで、ESGマネーの流入に影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.29ドル
配当利回り:4.15%
株価:55.1ドル(約146円)

 この銘柄、権利落ち日は11月中旬の予定(権利実施は12月下旬の予定)です。

 配当利回りは10月13日時点で4.15%、株価は55.1ドルでおよそ8,000円から購入できます(1USD=146円計算)。

 2019年からの最高値は73.91ドル、最安値は44.92ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:ファイザー(PFE)

 研究開発型の世界的なバイオ医薬品企業です。

 バイオ医薬品の開発、製造、マーケティング、販売、流通を通して、先進国および新興国市場において、ウェルネス、予防、治療、治癒を中心に事業展開しています。また、最近ではバイオヘイブン・ファーマシューティカルズ・ホールディングを買収するなど積極的に事業拡大を行っています。

 時価総額は2,400億ドルで、日本円で約35兆400億円となっています(USD=146円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は「バイオ医薬品事業(Biopharma)」の単一事業となります。

 その中で売上の中心は、「ワクチン(Vaccines)」で、続いて「医療用医薬品(Hospital)」、「がん治療薬(Oncology)」、「内科治療薬(Internal Medicine)」、「希少疾患薬(Rare Disease)」、「免疫炎症性疾患薬(Inflammation&Immunology)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「ワクチン」では、肺炎球菌、髄膜炎菌、ダニ媒介性脳炎、COVID-19など、全ての年齢層に対応したワクチンを提供しており、「医療用医薬品」では無菌注射剤、抗感染症薬、経口剤COVID-19などを取り扱っています。

競合他社

 競合他社として、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウイルス性肝炎、がんなどの疾患を予防および治療するための医薬品の発見、開発、および商品化に注力するバイオ医薬品会社であるギリアド・サイエンシズ(GILD)、処方薬、ワクチン、生物療法、アニマルヘルス製品を通じて健康ソリューションを提供する世界的なヘルスケア企業メルク(MRK)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年12月以降下落して推移していますが、配当は今年に入ってから増配をしています。

 ロシアのウクライナ侵攻以降も株価は堅調に推移してきましたが、8月以降マーケット全体の地合いの悪さもあって株価は年初から3割近く下落して推移しています。ただ、株価が下落したため7月28日時点で3.08%だった利回りが3%台後半まで上昇しています。

 値動きもそれほど大きい銘柄ではなく、会社側も継続して増配と自社株買いをすすめていくとしており、この下落局面で配当を目的として保有されるのには良いのではないでしょうか。

業績動向

 2022年7月28日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 また、2019、2020、2021年の同第二四半期の決算内容と比較しても1株利益・売上ともに全て上回っており、売上は第二四半期史上最大となりました。

 COVID-19 ワクチンのComirnatyやCOVID-19経口治療薬Paxlovidの売上が拡大したことが好調な業績につながったようです。また、EliquisやVyndaqel/Vyndamaxなどの自社製品も順調に売り上げを伸ばしており、今後も堅調な業績が期待されます。

 次回2022年11月1日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 現在続いているドル高は、ファイザーにとって業績のマイナス要因となります。

 今後、さらにドル高が進んだ際には業績悪化の可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.6ドル
配当利回り:3.80%
株価:42.03ドル(約146円)

 この銘柄、権利落ち日は11月3日(権利実施は12月5日)です。

 配当利回りは10月13日時点で3.80%、株価は42.03ドルでおよそ6,100円から購入できます(1USD=146円計算)。

 2019年からの最高値は61.25ドル、最安値は27.01ドルとなっています(終値ベース)。