米国高配当株5:ユニティル (UTL)

 ニューイングランドと呼ばれる地域の、メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州の顧客に電力とガスを供給する公益事業持株会社です。

 2030年までに50%、2050年までに温室効果ガス排出量ゼロを達成するために、クリーンエネルギーでの発電にも積極的に取り組んでいます。

 時価総額は7億4,000万ドルで、日本円で約1,100億円となっています(USD=146円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「電力事業(Electric)」で、続いて「天然ガス事業(Gas)」になります。「再生可能エネルギー事業(Non-Regulated)」にも取り組んでいますが、まだ利益はあがっていません。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「電力事業」では、傘下のUnitil Energy、Fitchburg、Northern Utilitiesを通じて配電事業を展開しており、「天然ガス事業」では傘下のGranite Stateを通じて全長86マイルの地下ガス輸送パイプラインを運営しています。

競合他社

 競合他社として、主にミシガン州において事業を展開するエネルギー会社であるCMSエナジー(CMS)、子会社を通じ、送電・配電・発電設備および天然ガス配電設備を所有・運営し、エネルギー性能契約および持続可能なインフラサービスを提供するセンターポイント・エナジー(CNP)、顧客志向で成長志向の公益事業会社であるブラック・ヒルズ(BKH)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年始付近の水準で推移しており、配当は2015年から毎年増配しています。

 メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州の好調な経済発展と、寒い地域であるがゆえに熱源の確保として電気・ガスの安定した需要が見込まれることなどで業績は変動が少なく堅調に推移し、それに伴い株価も一定の範囲内で推移しています。

業績動向

 2022年8月2日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 前年同期比と比較して、電気・ガスそれぞれの売り上げが増えたことで好調な業績となりました。また、営業費用およびメンテナンス費用が増加していますが、他の事業費の減少により相殺できています。

 事業を営むニューハンプシャー州が全米で住みたい州第二位になるなど人口の流入もあり、今後もユニティルの堅調な業績が予想されます。

 次回は2022年10月27日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 2026年まで積極的に投資を進めていく計画を立てており、今後も業績の拡大が期待されますが、人件費が継続して上昇しており、その点は業績のマイナス要因となる点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.56ドル
配当利回り:3.37%
株価:46.23ドル(約146円)

 この銘柄、権利落ち日は11月中旬の予定(権利実施は11月下旬予定)です。

 配当利回りは10月13日時点で3.37%、株価は46.23ドルでおよそ6,700円から購入できます(1USD=146円計算)。

 2019年からの最高値は64.81ドル、最安値は32.89ドルとなっています(終値ベース)。 

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