新常務委員候補9人一覧表。鍵を握る年齢と過去の政治キャリア

 今回の党大会で新人として常務委員入りする資格のある(年齢制限は67歳以下というのが慣例)9人の人物像を一覧表にしてみました。

氏名  年齢  現職 地方書記経験 中央閣僚級経験   出身/地盤/習との接点
丁薛祥  60 中央弁公庁主任 無  中弁副主任  江蘇/上海/有
李希 66  広東省書記 遼寧、広東 無  甘粛/甘粛/無
李強 63 上海市書記 江蘇、上海   無   浙江/浙江/有
李鴻忠 66 天津市書記 湖北、天津  無   山東/広東/無
陳全国 66  中央農村小組副組長 新疆、西蔵 河南/河南/無
陳敏爾  62 重慶市書記  貴州、重慶 無   浙江/浙江/有
胡春華   59  国務院副総理 内蒙古、広東  共青団書記、副総理 湖北/西蔵/無
黄坤明 65   中央宣伝部長 無   宣伝   福建/浙江/有
蔡奇 66   北京市書記  北京   国安委副主任 福建/浙江/有

 それぞれの項目、およびそれらを設けた背景・理由について説明します。

 まず、全員が67歳以下であるのは明白ですが、中国の今後の体制を考える上でより重要なのが、次回の党大会が開かれる2027年の時点で、依然67歳以下の人物が誰であるかです。

 この基準からすると、該当するのは丁薛祥(ディン・シュエシャン)、陳敏爾(チェン・ミンアー)、胡春華(フー・チュンファ)の3人であることが分かります。その政治キャリアから見ても、この3人は今回の党大会で常務委員入りする可能性のある新人候補であり、かつ2027年以降の指導層を率いていく、場合によっては「ポスト習近平」体制を担っていく可能性のある要チェック人物だと見なすことができます。

 次に、政治局常務委員入りする上で、特に総書記、国家主席、国務院総理といった最重要要職を担う上で重要になるのが、常務委員に入るまでにどんな政治的キャリアを構築してきたかであり、特に地方の党委員会で書記(トップ)を(何回)歴任したことがあるかどうかです。その上で、中央でも閣僚級の要職に就いた経験があればなおいい。

 この基準でみると、最も経験が豊富なのは、地方で二つ、中央で二つのポストを歴任している胡氏であるのは明白です。前述の丁氏と陳氏に関して言えば、陳氏は地方での経験は十分。丁氏は若干見劣りするものの、現在中央弁公庁主任という日本の官房長官に相当する重要ポストを任されており、後述するように、習氏にとっての側近中の側近です。

 私から見て、習近平―丁薛祥の関係は、日本で歴代最長政権をけん引した安倍晋三―菅義偉の関係を彷彿(ほうふつ)とさせるものです。