米国株も不安定、連休中&連休明けの動きを想定

 続いて、株価材料についても考えてみます。先週末に見せた株価下落の背景には、米国の金融政策の正常化ペースの加速が改めて意識されたことが挙げられます。とりわけ、利上げ幅が0.5%ではなく、0.75%に拡大される可能性が浮上してきたことに反応したもようです。

図5 米NYダウ(日足)とMACD (2022年4月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 実際に、NYダウ(ダウ工業株30種平均)の動きを見ると、株価は200日移動平均線を回復するなど、これまで順調に戻りをうかがっていたのが、週末にかけて一気に下落した印象を強めています。

 その中でも、週末22日(金)のローソク足が25日・5日・50日の3本の移動平均線をまたぐ、「3本下抜け」の大陰線となっているほか、リスクのオンとオフの境界線とされる3万4,000ドルを下回っており、後味の良くない格好で週の取引を終えています。

 ただし、2月24日の直近安値を起点とする下値ラインがサポートになっているほか、MACDも「0ドル」ラインを下回らずに維持しているため、相場が崩れたという印象でもありません。

 さらに、米金融政策の正常化ペースの加速化を織り込む動きにならなければ、株価が反発していくシナリオもあり得ます。

図6 米NASDAQ(日足)とMACD (2022年4月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 しかし、金融政策の正常化にネガティブに反応しやすいとされるグロース株が集まる米NASDAQのチャートの形は、上の図6を見ても分かるように、かなり悪くなっています。

 週末22日(金)の終値(12,839p)は、米金融政策を織り込みにいく過程でつけた安値(1月24日・2月24日・3月14日)のうち、1月24日の安値を下回ったほか、他の安値との距離もあまりない状況となっています。

 また、先週の上値も50日移動平均線で抑えられているほか、下段のMACDも「0p」ラインを下抜けていて、下値を探るような動きにも見えます。

 米国株も日本株と同様に、企業の決算が株価浮沈のカギを握ることになります。特に今週はアルファベットやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アップル、アマゾンといった主力IT大手企業の決算が予定されています。

 このほか、企業決算については、「ゼロコロナ政策」を実施している中国の影響も焦点になりそうです。先週は、上海の都市封鎖(ロックダウン)が一部緩和されるなどの動きも出てきましたが、さらなる緩和が進めば、株式市場の初期反応として上昇の追い風となることが想定されます。

 とはいえ、都市封鎖が行われている中国の港湾都市の沖合では、多くのコンテナ船が積み降ろしできずに待機せざるを得ないという事態が発生しており、中国にモノが運べない、中国からモノが届かないという物流の滞りが懸念されています。

 仮に、早期に都市封鎖が解除されても、たまっている通関手続きを処理するのに時間がかかることを踏まえると、ゼロコロナ政策の影響は業績の下押し圧力として大きな影響を及ぼす可能性があります。

 したがって、今週の株式市場は「膠着感」と「波乱警戒」のはざまで揺れ動く不安定な推移となりそうです。