売買代金ランキング(5銘柄)

1 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 マザーズ指数の下落を先導したマザーズ最大ウエート銘柄。マザーズ指数が3月安値を付ける前日14日、メルカリ株も昨年来安値2,627円まで値下がりしました。この株価は、2020年4月以来の低水準。巣ごもりメリット株としてコロナラリーで上がった分のほぼ全部を失った格好でした。月後半はリバウンドに転じましたが、ここからの焦点は?

 気になるのは、アナリストの同社株に対するトーンが落ちていること。一部大手証券では25日、目標株価を7,300円から4,200円に大幅に引き下げました。理由は、まん延防止の終了。成長が鈍化している国内事業ですが、外出増によって復調に時間がかかると見ているようです。

 そのほか短期のカタリストでは、東証プライム市場への上場承認に注目。上場申請のタイミングからすれば、4月後半辺りに承認となる可能性も。

2 JTOWER(4485・東証マザーズ)

 株価指標(予想PERやPSR)で説明しようが無いハイパーグロース株。年初来の下落率も突出して大きく(15日に付けた安値3,190円は前年末終値の3分の1以下)、ヘッジファンドによる空売り対象だった可能性も高そうです。

 そんな同社株が、信じられない大転換で火柱高を演じました。きっかけは、NTTドコモの保有する通信鉄塔(最大6,002基)を1,062億円で取得するという25日引け後の発表でした。これで、翌日から2日連続ストップ高買い気配、上限のみ制限値幅4倍拡大となった30日に全株一致。

 25日終値4,330円に対して30日始値は7,480円と、材料一発で70%超の爆上げとなりました。

 手前でたまった空売り分の買戻しに加えて、今回の発表を日系、外資系ともアナリストが高く評価したことで新規買いも集まったと見られます。

 取得するNTTドコモの鉄塔が全国の郊外にあり、NTTドコモだけでなく他キャリア(KDDI、SBM、楽天M)もシェアリングに加われば、利益貢献度が大きくなります。「業績成長が想定より5年前倒しで進むことが示唆されたためポジティブ」との見方など聞かれました。

3 エッジテクノロジー(4268・東証マザーズ)

 2月17日マザーズ上場の直近IPO株で、上場後は最悪級地合いに飲まれて低迷していました。公開価格350円に対して初値は694円と高く付きましたが、マザーズ指数が底入れする15日まで株価は540円前後で低空飛行。それが、30日に付けた上場来高値で1,857円まで駆け上がるとは…恐るべしイナゴパワー。

「買いが買いを呼ぶ」とはよく言いますが、売買代金ランキング上位に名を連ねることで、知名度(視聴率)が上がり、参加者が増えます。これを繰り返すわけですが、急騰前の時価総額が50億円程度だったこともあり値段が飛びました。

 また、マザーズのムードが好転する直前、13日に第3四半期決算を発表。営業利益は1.5億円と、通期予想1.6億円に対する進ちょく率96%の好決算でした。上場後最初の決算発表で強い数値を示していたことも、数ある直近IPO株の中で優先された理由といえそうです。

4 サイバーセキュリティクラウド(4493・東証マザーズ)

 ロシアによるサイバー攻撃や、トヨタ系部品会社のサイバー攻撃被害を受け、2月後半より急浮上したテーマが「ネットワークセキュリティ」でした。このテーマのど真ん中銘柄だったのが同社で、2日はマザーズ市場でも売買代金トップの大商いに。

 国内1万5,000以上のサイトを対象とした同社調査によれば、ロシアのウクライナ侵攻(2月16日)以降、不審な攻撃者による不正アクセスが急増。直近3カ月平均と比べ最大25倍の攻撃が検知されたといいます。

 サイバー攻撃遮断のため、同社のクラウド型WAF「攻撃遮断くん」の導入が増えるとの思惑が株価に練り込まれました。ただ、今後の決算発表に対するハードルは上がった印象です。

5 ウェルスナビ(7342・東証マザーズ)

 赤字ということもあり、マザーズの高バリュエーション主力株として売り込まれてきた銘柄。16日に付けた安値1,341円は、IPO時(2020年12月)の初値1,725円を大幅に下回る水準です。まさに価格破壊状態で崩れましたが、マザーズ全体の反転とともに同社株も急回復モードに。

 3月後半のリバウンド局面で最も上昇したのは29日(前日比15%高)でした。前日28日引け後、ロボアドバイザー「ウェルスナビ」の預かり資産が25日時点で6,500億円を突破したと発表したことでした。長期投資や積立投資で人気の米国株指数も、3月前半にかけて大きく値下がり。

 値下がりで預かり資産は自然減少しますが、それを上回る資金流入があったということ。世界的な株価下落時に、「安値圏で買っておきたい!」という個人投資家の逆張りニーズは高いようです。