今週:ウクライナ相場がピークを迎えるか?過去の戦争と株価を振り返る

 今週も引き続きウクライナ情勢に右往左往する展開が続きそうです。

 北京五輪が20日(日)、閉幕しました。ロシアには、2014年2月23日に閉幕したソチ五輪直後の3月に、ウクライナ領クリミア半島に侵攻して同自治共和国を併合した過去があります。

 ただし、侵攻が親ロシア派が多いウクライナ東部だけに終わったり、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加入に関する米国との外交交渉が始まったりする可能性もあります。

 株式市場が最も嫌うのは、先行きが不透明な状況です。

 実際、湾岸戦争が起こった1991年1月、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500は約4.2%、翌2月は約6.7%上昇しました。

 2003年3月のイラク戦争開戦前は、イラクで化学兵器が見つかったというニュースだけで株価が暴落しましたが、米英軍勝利が鮮明になった翌4月、S&P500は約8.1%も上昇しました。

 むろん、19日(土)には「ロシアがウクライナの複数都市を攻撃する恐れ」というニュースも流れており、大国ロシア相手の紛争では過去の例が当てはまらない可能性も。大規模侵攻が始まり、株価が急落する展開は十分あるので注意すべきです。

 今週発表の経済指標では、25日(金)の米国個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)が注目です。

 PCEデフレーターは、米国の中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)がCPI(消費者物価指数)に重要視するインフレ指標です。

 2021年12月は前年同月比5.8%上昇と1982年以来の高い伸びでしたが、2022年1月予想は前月比0.5%、前年同月比6.0%と依然として高水準の上昇が見込まれています。

 しかし、先週のPPI同様、高い伸びを示すインフレ指標が出ても、もう株価が反応しなくなる可能性もあります。そうなれば、2022年年初から止まらない株価急落トレンドからの反転上昇にも期待できるかもしれません。

 今週の株式市場が、悪材料満載の”陰の極”となるか、すでに出た悪材料に株価が反応しなくなる”あく抜け”になるかは定かでありません。

 ただ、例年2月から3月にかけての春相場は株価が上がりやすい時期。波乱続きの株式市場がいったん落ち着くことを期待したいものです。