FRBはタカ派どころか、相当緩い政策を放置する方針のようだ

 FOMC(米連邦公開市場委員会)でインフレ懸念が増大し株価が急落したことに焦ったのか、1月31日に米金融当局者の火消し発言が出てきた。

「景気支援策は「慎重に」解除すべきだ」(カンザスシティー連銀総裁)、(漸進的に行う必要があり混乱を招いてはならない)(SF連銀総裁)など、利上げに慎重な発言が飛び出した。

 2月1日には、米国債券市場に影響力を持つ米セントルイス連銀のブラード総裁が、「3月の0.5%の利上げはわれわれの助けにならないと思う。少なくとも現時点で考える限り助けにはならない」と発言している。

 今年のFOMCで投票権を持つカンザスシティー連銀のジョージ総裁は、「比較的急勾配の利上げの道筋と比較的緩やかなバランスシート圧縮を組み合わせた場合、イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化し、特にコミュニティーバンクなどの民間部門の金融仲介のインセンティブをゆがめる恐れがある」と語った。

米国のイールドカーブ(3カ月~30年の利回り曲線)2022年1月31日現在

出所:ストックチャーツ

 米金融当局者の消極的な利上げ姿勢を聞いて株式市場は安堵(あんど)したようだ。一方で、利上げ観測に前のめりになっていたFXの市場ではドルが売られる動きになっている。

ナスダック100CFD(日足)

(赤↑:買いシグナル・黄↓:売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ドル/円(日足)

(赤↑:買いシグナル・黄↓:売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ユーロ/ドル(日足)

(赤↑:買いシグナル・黄↓:売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 FRB(米連邦準備制度理事会)はタカ派どころか、相当緩い政策を放置する方針のようだ。FRBが話しているのは、やや緩やかな金融政策である。緩いというのは引き締めではない。「物価の番人」ではなく「株価の番人」として政策を推進してきたグリーンスパン以降のFRBの方針を継続している。