週末の相場を支えたアマゾンの決算

 それでも、週末の4日(金)は持ち直し、何とか1万4,000pの株価水準を回復できました。こうした週末にかけての相場を支えたのはアマゾンの決算です。

■(図4)アマゾン(日足)の動き (2022年2月4日取引終了時点)

出所:楽天証券取引サイトを元に筆者作成

 アマゾンの決算については、「四半期純利益が前年同期比98%増」というインパクトもあって大きく上昇する初期反応を見せました。上の図4を見ても分かるように、株価は決算後にこれまで上値の抵抗となっていた25日移動平均線や、節目の株価水準まで戻しています。

 一応、直近の株価急落前の水準を回復させてはいますが、50日移動平均線超えをトライするのはこれからですし、昨年11月の高値まではかなりの距離があります。「ひとまず反発したが、継続的な株価上昇につなげられるかはこれから見極め」といったところです。

 そもそも、アマゾンの大幅な利益増の要因は、保有しているEV(電気自動車)メーカーのリヴィアン株(昨年11月に上場)の評価益によるところが大きい状況です。

 本業については、クラウド部門は成長しているものの主力のネット通販部門が減少しているほか、人件費を含む営業コストが重しとなって営業減益となっていること、売上高見通しも市場予想に届いていないことなどから、株価がこの後も業績期待で上値を伸ばしていけるかは微妙です。

 また、利益成長の足を引っ張っている人件費についても、先週末4日(金)に公表された米1月雇用統計で、平均時給の強い伸びが続いていることが示されています。

 先日(1月25~26日)開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「労働需要の逼迫(ひっぱく)による賃金上昇がインフレ圧力につながっている」と言及したことがあらためて意識される格好となり、3月開催のFOMCでの利上げが現実味を帯びつつあります。

 さらに、原油価格の上昇基調や、各国の金融政策の影響による為替の円安傾向も続いているため、今週発表が相次ぐ国内企業の決算についても、インフレをキーワードにこれらが業績に及ぼす影響の見極めがポイントになりそうです。

 このように先週の米国市場は、雇用統計によって利上げ観測を強めたほか、企業決算についても業績で明暗が分かれることや、コスト増への意識への高まり、業績を手掛かりに株価が下げ止まっても高値を更新できるほどの強さが感じられず、成長鈍化の兆しも見られるなど、厄介な「置き土産」を残したと言えます。

 そのため、今週は積極的に動きづらく、足元で慌ただしかった株価の値動きが落ち着きどころを探って下値を固めるような展開が基本シナリオになりそうです。

 なお、ひとつ気を付けておきたいのが、10日(木)に米国で発表される1月CPI(消費者物価指数)です。直近のCPIの結果はインフレ傾向が続いており、CPI後に株式市場下落する傾向が3回連続で続いています。一応注意しておく必要はありそうです。