インフレ局面で資産を守るにはどうしたら良いのか!?

 インフレ局面で資産を守るにはどうしたら良いのだろうか? インフレを予測しコントロールすることはできないため、投資家は自分でコントロールできるいくつかのルールに沿った投資をすることが必要になる。

 1つ目は、インフレ環境においてコスト上昇を転嫁できる企業と、物価上昇時に利益を得る企業を見極めることが必要となる。そうした企業は多くの場合、強力なブランド、独占的な価格決定力、強いマージンを備えている。

 市場がインフレへ動き出した時に、恩恵を受けると期待されるセクターは、銀行を含む金融セクター、エネルギーセクター、資本財などが挙げられる。銀行を含む金融セクターは価格決定力が強く、インフレになると連動して価格を上げることができる。

 エネルギーや資本財(工業製品)などの循環産業も、価格が消費者物価指数に連動するため、アウトパフォームする傾向がある。

 2つ目は、ファンダメンタルズのしっかりした企業に投資をすることである。インフレ環境は実質リターンに影響を与える。これに対抗するためには、パフォーマンスの原動力となる強いファンダメンタルズを持った企業を探すことである。

 3つ目は長期投資だ。過去148年間のS&P500種指数のデータによると、米国の大型株で損をする確率は時間の経過とともに大幅に減少している。投資1カ月では39%の確率で損をするが、3年後には22%程度にまで低下し、20年を経過すると0.1%にまで落ち込む。

米大型株に投資した場合のリスクの変化

出所:石原順

 FRBが金融引き締めに向けた動きを加速している背景にはインフレの急上昇がある。世界最大のヘッジファンド、ブリッジ・ウォーターの創設者であるレイ・ダリオは昨年LinkedInに「On Inflation and Wealth(インフレと富について)」というタイトルのブログを投稿し、インフレが米国人の富を侵食していると指摘した。

 インフレが猛威を振るっており、現在、インフレがあなたの財産を蝕んでいるということを示した。それは当然のことだ。現時点では、1)政府が大量のお金を印刷し、2)人々が大量のお金を手に入れ、3)それが大量の買いを生み、さらに大量のインフレを引き起こしている。一部の人々は、自分の購買力がどのように損なわれているかを見ずに、自分の資産が値上がりしているので、自分がより豊かになっていると勘違いしている。最も被害を受けているのは、現金でお金を持っている人たちだ。

(レイ・ダリオ)