マーケットテーマはMMTからインフレへ
現在のバブルはウォール街がこれまでに見たことのないほど大きなものである。だからこそ、市場に敷かれているラグが引き抜かれる前に必ず起こる現在の分配段階(MMT)は、誰も見たことのないほど大きなものなのである。だが、この2年間の米国のMMTはインフレで終焉(しゅうえん)を迎えつつある。
FRBのバランスシートはGDPの42%の水準まで拡大
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GDP(国内総生産)に対する米国の財政赤字の割合
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昨日発表された米消費者物価指数の総合CPIは前年同月比で7%上昇となり、1982年以来の高い伸び率となった。
米消費者物価指数の総合CPIの推移(1955~2022年)
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問題は、「実質平均時給」が前年比2.4%減と9カ月連続で減少していることだろう。
平均実質時給の推移(2010~2022年)
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FRB(米連邦準備制度理事会)の無能な金融政策と議会の封鎖政策とMMT(ヘリコプターマネー)のおかげで、米国人の生活費の急増は賃金の上昇を上回っている。
以下の表のように、市場の調整は後手に回るFRBの政策によって誘発される。
FRBの金融引き締めとバブル崩壊
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インフレ局面で資産を守るにはどうしたら良いのか!?
インフレ局面で資産を守るにはどうしたら良いのだろうか? インフレを予測しコントロールすることはできないため、投資家は自分でコントロールできるいくつかのルールに沿った投資をすることが必要になる。
1つ目は、インフレ環境においてコスト上昇を転嫁できる企業と、物価上昇時に利益を得る企業を見極めることが必要となる。そうした企業は多くの場合、強力なブランド、独占的な価格決定力、強いマージンを備えている。
市場がインフレへ動き出した時に、恩恵を受けると期待されるセクターは、銀行を含む金融セクター、エネルギーセクター、資本財などが挙げられる。銀行を含む金融セクターは価格決定力が強く、インフレになると連動して価格を上げることができる。
エネルギーや資本財(工業製品)などの循環産業も、価格が消費者物価指数に連動するため、アウトパフォームする傾向がある。
2つ目は、ファンダメンタルズのしっかりした企業に投資をすることである。インフレ環境は実質リターンに影響を与える。これに対抗するためには、パフォーマンスの原動力となる強いファンダメンタルズを持った企業を探すことである。
3つ目は長期投資だ。過去148年間のS&P500種指数のデータによると、米国の大型株で損をする確率は時間の経過とともに大幅に減少している。投資1カ月では39%の確率で損をするが、3年後には22%程度にまで低下し、20年を経過すると0.1%にまで落ち込む。
米大型株に投資した場合のリスクの変化
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FRBが金融引き締めに向けた動きを加速している背景にはインフレの急上昇がある。世界最大のヘッジファンド、ブリッジ・ウォーターの創設者であるレイ・ダリオは昨年LinkedInに「On Inflation and Wealth(インフレと富について)」というタイトルのブログを投稿し、インフレが米国人の富を侵食していると指摘した。
インフレが猛威を振るっており、現在、インフレがあなたの財産を蝕んでいるということを示した。それは当然のことだ。現時点では、1)政府が大量のお金を印刷し、2)人々が大量のお金を手に入れ、3)それが大量の買いを生み、さらに大量のインフレを引き起こしている。一部の人々は、自分の購買力がどのように損なわれているかを見ずに、自分の資産が値上がりしているので、自分がより豊かになっていると勘違いしている。最も被害を受けているのは、現金でお金を持っている人たちだ。
(レイ・ダリオ)
ここまでの1月相場はシーズナルパターン通りの動き!?
先週のレポート、『米国株は7銘柄の成績!ドル/円も1月は相場反転に注意が必要な月!?』で1月相場の特徴をとりあげたが、ここまでの1月相場はシーズナルパターンに沿った動きを続けている。
レポートやラジオで取り上げてきた「サンタクロースラリー」も1月4日で終わった。1月相場は相場反転に注意が必要な月である。トレーダーズアルマナックの過去21年の米国株の1月のパフォーマンスをみると、11営業日から20営業日(休日を除いたトレーディングデー)まで相場が下げる傾向にあることがわかる。
過去21年間の米国株の1月のパフォーマンス(2001~2021年)
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NYダウCFD(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ドル/円相場も1月は過去5年で1勝4敗、過去10年で3勝7敗と、ドル/円相場には分が悪い月である。
ドル/円のシーズナルパターン
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ドル/円(日足)(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
中間選挙年の米国株のシーズナルパターンを紹介しておこう。
モルガンスタンレーは今年の米国株市場の行く末について弱気な見方をしている(ゴールドマンの目標株価5,100に対して2022年末までに4,400まで下落)が、モルガンスタンレーはゴールドマンの「悲惨な横ばい観」に同意している。
S&P500の中間選挙年のシーズナルパターン
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2022年初頭には、投資家がインフレの軌跡とFRBの初回利上げの時期に関する不確実性を解消しようとするため、経済データに対する感応度が高まると予想される。2022年の終盤になると、中間選挙が焦点となろう。
1月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
1月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「半導体とメタバースの最前線」・「メタバース関連注目企業は!?」・「ギガテック企業だけが米国の成長を支えている」・「米国株は7銘柄の成績」というテーマで話をしてみた。今中さんのイチ押し銘柄は!? ぜひ、ご覧ください。
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ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
1月12日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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