※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
2021年の日経平均振り返り​
---------------------------

 今日は、2021年の日経平均株価を振り返ります。

業績上向きでも上値を抑えられた2021年

 まだ2021年が終わったわけではありませんが、簡単に今年の日経平均を振り返ります。一言で言うと、「往来相場」。上値重いが下値堅く、行ったり来たりを繰り返した年でした。2020年がコロナショックで暴落後に急上昇した「大荒れ」だったのと対照的です。

2020年・2021年の日経平均週足:2020年1月6日~2021年12月21日

出所:MSⅡより作成

 2021年の日経平均をさらに詳しく見てみましょう。

日経平均の日次推移:2021年1月4日~12月21日

出所:QUICKより作成

 2021年は、後半にかけて国内景気・企業業績モメンタムが上向きとなった1年でした。にもかかわらず、上値を抑えるショックがたびたび起こり、上値トライできませんでした。

 8月までは、新型コロナの影響で国内消費が抑え込まれました。ワクチン接種の遅れから度重なる「緊急事態宣言」が出されました。ワクチン接種が先行した欧米の、景気回復が顕著だったのと比較して、日本の回復が鈍いことが嫌気されました。

 秋以降は、国内でもワクチン接種が急速に進み、コロナ感染者が減少したこと、9月中間決算が好調であったことなどを受けて、一気に上値を抜けていく期待が高まりました。

 ところが、9月には恒大ショック【注1】が起こり、中国経済とのつながりが大きい日本株が売り込まれました。

【注1】恒大ショック
中国の不動産大手「恒大集団」のデフォルト不安、中国不動産バブル崩壊・中国景気悪化リスクを嫌気した株安。

 中国への不安は、恒大問題だけではありません。ウイグル綿調達問題や、中国政府が中国のハイテク企業の締め付けを強化した影響が懸念されて、日経平均の構成比が大きいファーストリテイリングや、ソフトバンクグループが売られました。

 さらに11月にはオミクロン・パウエルショック【注2】で世界的に株が売られ、日経平均も下落しました。

【注2】オミクロン・パウエルショック
 南アフリカ共和国で検出された新型コロナウイルス変異型オミクロンの感染力が強いこと、すでに欧米に感染が広がっていることが分かったことを受け、再び経済に重大な悪影響が及ぶ懸念が広がり、11月末にかけて世界的に株が下落しました。それがオミクロン・ショックです。
 もう1つ、11月はパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)がタカ派に転じる不安が広がりました。米国のインフレ高進が続いていることに対し、「インフレは一時的」と言い続けてきたパウエル議長が「一時的ではない」と発言を撤回、11月からテーパリング(量的金融緩和縮小)を実施すると決定したことを受け、世界的に株が下落しました。これが、パウエル・ショックです。