業績モメンタムが強まる中での日経平均下落に違和感

 株価は、短期は材料で動きますが、長期的にはファンダメンタルズ(景気・企業業績)を反映して動きます。日経平均の動く方向を決定づけるのは、最後は企業業績です。その意味で、2021年の企業業績が回復基調を強めているにもかかわらず、日経平均が下がるのには違和感があります。

 ご参考まで、過去の企業業績と日経平均の騰落を比較した、以下の表をご覧ください。

東証一部3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)と日経平均の騰落率:2016年3月期(実績)~2022年3月期(予想)

出所:楽天証券経済研究所が作成。2022年3月期会社予想について、純利益の会社予想を発表していないソフトバンクGなどは市場予想を、三菱UFJ FGは会社目標を使用。市場予想は12月21日時点のQUICKコンセンサス予想

 上記をご覧いただくと分かる通り、日経平均は企業業績のモメンタムに反応して動いています。期初予想(5月に出した会社予想)よりも、着地が上になる年度は日経平均が上昇、着地が下になる年度は日経平均が下落する傾向が鮮明です。

 今年度(2022年3月期)は、期初予想(19.1%増益)が、すでに36.3%増益まで上方修正されています。ところが、12月21日の日経平均は、前年度末(3月31日)対比で2.3%のマイナスです。利益見通しが増額されているのに、株価が上がっていないので、東証一部の予想PER(株価収益率)は約15倍まで低下し、割安になってきていると考えています。

 来年の初めには、割安な株価が見直されて、日経平均はもう一度、上値トライすると予想しています。ただし、リスクもあります。来年、急激に世界景気が悪化する可能性には注意が必要です。年が明けた途端に、米景気が、中国景気とともに急失速することがないか、慎重に見ていく必要があります。