長期に安定したパフォーマンスを上げるには、取引商品の「分散」が必要

 当然のことながら、筆者は「10月末買い・翌年4月末売り」というシーズナリーサイクルの売買にすべてを賭けているわけではない。ポートフォリオ全体から見れば、数パーセントから1割程度のポジションである。

 相場のパフォーマンスは「運」や「偶然」による部分も大きい。たとえば、1年間、ドル/円を取引して大きなトレンド(方向性)が発生しなかった場合、どんなトレンドフォロー(順張り)の手法を用いても大きくもうけることはできない。これを人は「運」や「相場」が悪かったと言う。

 しかし、どの商品にいつ大きなトレンドが発生するかを当て続けることは不可能なので、「運」よくトレンドに乗る(ついていく)ためには、できるだけ相関関係のない商品を分散トレードすることが必要となってくる。

 筆者が相場の世界に入って既に30年超が経過したが、運用で「長期に安定したパフォーマンス」を上げるには、取引商品の「分散」が必要だとの信念を持っている。

 相場を事業として長く続けるには、

(1)自分の運用手法に対する絶対的な信頼性をもつ
(2)世界のあらゆる市場に分散投資し、40~50品目の商品をウオッチし取引する

という2点が重要だ。

 個人投資家で50品目の取引を行うのは大変である。しかし、長期にわたって「安定した」収益を上げるには、ある程度の商品分散(少なくとも株や債券、コモディティなど、10商品以上への投資)が必要であると思われる。

 相場へのアプローチは「各人各様」でよいだろう。相場手法に正解はない。FXや先物取引は資金効率が非常によい半面、レバレッジ(借金)で取引する商品なので、オーバー・トレードは厳に慎みたい。小さなポジションで複数の商品のポジションをもつことが安定運用につながることは、これまでのファンド運用の歴史が証明している。