株が下がりやすい月は「5月」・「9月」・「10月」

 より長期の米国株(S&P500種指数)のシーズナリーサイクルを紹介しよう。分析者は親子二代にわたって米国株のシーズナリーパターンを研究しているジェフリー・ハーシュである。彼は『トレーダーズ・アルマナック』という会社をやっていて、日本ではパンローリングから書籍や翻訳レポートも出ている。

S&P500種指数のシーズナルパターン:1949年以降

出所:「トレーダーズ・アルマナック」ジェフリー・ハーシュ(パンローリング)

NYダウの3カ月ロール:1949年以降

出所:トレーダーズ・アルマナック(パンローリング)

ナスダック総合指数の3カ月ロール:1971年以降

出所:トレーダーズ・アルマナック(パンローリング)

 トレーダーズ・アルマナックのジェフリー・ハーシュによると、「11月、12月、1月は、S&P500、NYダウ、ナスダックの3つの指数にとって、1年で最も季節的に強い3カ月間となる。このような季節的な強さは、機関投資家の年次、半期、四半期ごとの活動と、個人投資家や消費者の習慣的な行動が組み合わさって生まれるもの。1949年以来、11~1月の3カ月間で、S&P500種指数とNYダウは4.3%の上昇を記録。10~12月はS&P500が4.1%、NYダウが3.9%で僅差の2位。1971年以降、ナスダックの11~1月の上昇率は6.3%と非常に高く、12~2月が5.0%で2位、10~12月が4.4%で3位となっている」という。

 筆者の独断と偏見で言えば、株が下がりやすい月は「5月」・「9月」・「10月」である。そこが逆張りの買い場となるが、半年程度保有する場合、「5月の買い」は9月・10月の下げ相場に巻き込まれてしまう。

 したがって、運用成績の落ち込み(ドローダウン)を避けて投資するには、「10月末買い・翌年4月末売り」が消去法で残ることになる。

 株式相場やクロス円相場は急落時にボラティリティ(変動率)が上昇しやすく、上昇および横ばい相場ではボラティリティは低下していく。株式投資に関してあまり好ましくない現象は、ボラティリティの上昇である。

 株式市場のボラティリティが上がりやすい月は「9月」・「10月」である。この9月から10月のリスク商品の押し目は半年間という中期投資の買い場となりやすい。

 筆者は今年も「10月末買い・翌年4月末売り」の株の買い循環のパターン分析をもとに、ポジションを構築する予定だ。株式インデックスの取引で重要なことは、レバレッジを上げないことと、ストップロス(あらかじめ計算された損出処理)を徹底することだ。資産管理のルールさえ守っていれば、短期的にうまくいかなくてもいつか報われるときはくるだろう。

 予測というのは科学ではなくアート(芸術)である。ずいぶん昔に『ラリー・ウィリアムズの相場で儲ける法』(日本経済新聞出版社)という本を読んで驚いたことがあったが、相場には実に多くのアノマリーやバイアスが存在する。ある時期は神がかり的に当たるが、外れだすとしばらく止まらなくなるのがアノマリーやバイアスである。

 株式相場で有名なアノマリーとして「1月効果」や「月末効果」などがあるが、近年はその有効性も低下している。相場に絶対はない。しかし、「10月末買い・翌年4月末売り」という半年間投資だけは、近年も有効に機能し続けている。