今年は第14次五カ年計画の初年度、習近平政権の重要期

 今年は第14次五カ年(十四五)計画の初年度です。また、習近平政権が第3期に入る前の重要な時期にあたります。米国に追いつき追い越すためには、米国型の金融資本主義をしのぐシステムを作り上げなければなりません。資本市場の失敗を正し、人民がより豊かな生活を送れるような経済運営システムを作り上げなければなりません。

 こうした当局の果敢な取り組みが、自己の利益の最大化だけを追求するハイテク企業への粛正や、人民に本当の豊かさを感じてもらえる共同富裕の促進につながっているのです。長期的に見れば、決して悪材料ではありません。

 ハンセン指数は底割れすることなくリバウンド過程に入っている理由は、市場参加者の間で中国の特殊性が再認識されたためだと見ています。

リスクだった米中関係は?

 米中関係について、米国側が緩和に向けた行動を取り始めました。

 米通商代表部のキャサリン・タイ代表は10月8日、劉鶴(リュウ・ハァ)副首相と電話会談を行いました。

 そのポイントはおよそ以下の3点です。

1:追加関税措置の取り消し交渉が行われており、米中貿易戦争は最終局面に入っている
2:中国側は経済発展モデル、産業政策、今後の経済発展などに関する問題について立場をはっきりと説明した
3:平等、相互尊重といった態度に基づき、交渉を続けることに双方が同意した

 米中関係の改善がより具体的に進展すれば、“思わぬ株高”もありそうです。

 上海総合指数についてですが、9月の下落幅が小さかった分、香港市場のような“悪材料の消失”といった“好材料”が効きません。

 一方、市場の失敗として、株式投機や市場操作などの違法行為などがやり玉に挙げられており、株式市場に資金が入りにくくなっています。こちらは企業業績を高めるような成長戦略に関わる政策の発動待ちといったところです。