恒大集団の資産売却、香港での取引停止は何を意味するか?

 ここに来て、恒大集団の「次」をめぐって、もう一つの関連ニュースが飛び込んできました。

 同集団の不動産管理子会社・恒大物業集団の過半株式を、50億ドル(約5,500億円)超で同業のホプソン・デベロップメント・ホールディングス(合生創展集団;0754、香港)に売却する可能性が浮上。実現すれば、恒大集団にとって過去最大規模の資産売却となり、この資金調達により、向こう6カ月の外貨建て債の支払いを賄うことが理論上可能となります。

 10月4~5日にかけて、恒大、合生両集団の香港市場における取引は共に一時停止されています。理由は明らかになっていませんが、「次」へ向けた布石と見るべきで、今後の動向が注目されます。

 もちろん、50億ドルという額は、同集団が抱える負債総額3,000億ドルの60分の1に過ぎません。従って、同集団の資産売却はまだまだ序の口といったところで、中国当局もその前提で引き続き、同集団への指導を行っていくでしょう。

 一方、私が本件に関して話を聞いた米ウォール街、香港金融界の関係者たちは、同集団の香港における取引停止を総じてポジティブに受け止めているようでした。

 理由は、「現状維持」ではデフォルト危機を免れないであろう恒大集団が、資産売却に後ろ向きにならず、「売却先の選定も理にかなっている」(米国駐香港投資銀行勤務ブローカー)というもの。

 そして、彼らが声をそろえて評価するのが、恒大集団の動きが合理的であるとして、それを中国政府の監督や指導がなせる業だと認識している点なのです。