S&P500一点張りより、全世界株式6+TOPIX4、全世界株式がベター!

山崎 3地域分散がいいと思うのは、このところ、なかばバブル的な上昇が続いている米国株に大きくベットするのではなく、これまでちょっとさえなかった日本株や新興国の株式を全世界株式ファンドの比率よりも多少、多めに買っておくのが「へそまがり投資」的にはちょっとおもしろいのでは、という面もあります。

 しかも、リスクの数字を計算してもかなり低くてリーズナブルなので、おもしろさとリーズナブルさの両方を得ることができる。

 リスクはイーブンだけど外国株のほうがちょっと期待リターンは高いかもしれないという前提条件で計算すると、外国株と日本株の比率は6:4で持つのがいいというのが私の持論です。この場合、全世界株式(除く日本)で6、TOPIXで4という比率がいいでしょう。

「日本株の比率が少し高くありませんか」とよく質問されますが、そのときは「将来、日本円を使って生活するんだし、日本株もいつまでも悪いというものでもないのだから」と答えます。

 全世界株式(除く日本)6:TOPIX4で持つのと、全世界株式(含む日本)で持つのと、3地域分散で持つことに実は大差はありません。ただ、そのいずれの場合も、S&P500や日経平均に連動するインデックスファンドを1本で持つよりはたぶん、いいのではないかと思います。

――つみたてNISAでS&P500のインデックスファンドに投資している場合、そのポジションはクローズして乗り換えるべきでしょうか?

山崎 つみたてNISAで保有している投資金額に対して5%の期待リターンがあるとすると、20%の税金が免除されているわけですから、そのポジションにはざっとリターン1%分ぐらいの価値があります。ポジションを解消してしまうとその非課税枠はもう使えないわけですから、その枠を放棄してまで、もう一度買い直す必要はありません。

 たとえば翌年分から、S&P500ではなく全世界株式に乗り換えたり、自分はへそ曲がりだから3地域分散にするか、というようにして、積み立てる対象を変えるだけでいいと思います。

代田 「投資ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2020」※7でも1位の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」以下、「eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)」も18位に入るなど、ご評価をいただいています。

 ただ、投資初心者の方が最初の1本として選ばれる際には、多くの方からご支持いただいている「全世界株式(オール・カントリー)」でいいのではないかとも思います。

※7 「投資ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2020」は、投信ブロガーの投票を運営委員会が集計したランキング(投票者数:185名)。投票期間:2020年11月1日~11月30日。投票対象:2020年10月31日までに設定された投資信託(ETF含む)。海外ETFについては、日本の証券会社を通じて買付可能なもの。将来の運用成果等を保証したものではありません。