注目のジャクソンホール会合!だが、次のFRB議長はイエレン財務長官が選ぶ⁉

「ワイオミング州ジャクソンホールで今月下旬に開かれるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムが金融市場の注目を集めているが、少なくとも為替相場を動かす可能性という点で、この会合は空振りに終わるかもしれない」(『ジャクソンホール会合、ドルのトレーダーには空振りに終わる可能性も』 8月14日 ブルームバーグ)と報道されているように、パウエルFRB議長からテーパリングに向けての勇ましい言葉を期待するのは無理があるようだ。それは、パウエルFRB議長の続投が決まっていないからである。

 著名投資家マーク・ファーバーは、「パウエルFRB議長が再任される」という市場の大方の観測に対して疑問を持っているようだ。

【あと7カ月でパウエルの任期が終わる。このときFRB議長を任命するのは、理論的にはジョー・バイデン大統領だ。ただし、この問題についてバイデンに助言をするのは、ジャネット・イエレン(現米財務長官・前FRB議長)である。となれば、私は実際に決定を下すのはイエレンであるとみている。バイデンは彼女のいうとおりにするだろう。

 イエレンはトランプに解雇された。表向きは2期目に再任されなかったのであり、解雇ではない。だが、実質的には解雇だった。そして、自分の後釜に座ったのがパウエルである。

 ここで人間の弱さの問題に戻る。イエレンはその仕返しにパウエルを解雇したくてたまらないとみる。イエレンはパウエルが職を得るために、あの手この手で自分の背中を刺したのだと感じているだろう。

 私の勝手な推測では、パウエルは自分がイエレン=バイデンの望みを忖度して実施するだけで、75%の確率で再任されると思い込んでいるだろう。しかし、私が思うに、イエレン=バイデンの望むことを正確に実行しても、続投の可能性は25%しかない。イエレンがパウエルを好きではないと思うからだ。

 パウエルは二人を喜ばせようと懸命の努力をしている。そして、自身の信頼、ひいては連邦準備制度の信頼を損ねている。その挙句に職を失うだろう。しかも、自分の任期後に何かしら悪いことが起これば、非難の矢面に立たされるのはパウエルである。絶体絶命だ。

 したがって、個人的には、パウエルは腹をくくって、圧力をはねのけ、自身とFRBの信頼を護り、まさに昔ながらの方法で解雇されたほうがよいように思う】

(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート(パンローリング))

「イエレン米財務長官は木曜日、米CNBCテレビのインタビューで、パウエルFRB議長を再任指名するかという問いに対し『その議論を大統領とすることになるだろう』と述べ、バイデン大統領との話し合いであるとして、自身の見解を明らかにしなかった」(7月15日 ブルームバーグ)という。