海運株への投資の考え方はファンドマネージャー時代から変わらない

 海運3社は、実は私がファンドマネージャー時代に大好きだった株です。「ブームの時はとんでもない高い利益が出て、不況になると巨額の赤字を計上する」、良い時と悪い時の落差が極めて大きいことから、投資判断にあまり悩まずに済みました。

 海運の業績サイクルはとても長いのが特徴です。供給能力の調整に時間がかかることが原因です。海運ブームでは、新造船の発注が高水準となりますが、すぐに供給は増えないので供給不足が長引きます。

 ところが、ひとたび海運不況になると長期不況に陥ります。なぜならば、海運不況になった後も、海運ブームの時に発注した船舶の竣工が続くからです。

 前回の海運ブーム2007年には、造船単価が高くなったところで、大量の造船が発注されました。造船会社のドックが5年先までいっぱいなので、2007年に造船を発注しても、竣工するのは2012年より先と言われていました。それでも、世界の海運会社は巨額の造船発注を続けていました。

 2008年リーマンショックが起こると、海運市況は暴落。そこから、長期不況に陥りました。海運不況が続く中、2012年以降まで高単価の船の竣工が続き、ダメージを大きくしました。

 先行きのことはわからない、それでも投資判断をしていく必要はあります。私は、海運株は割り切って、「良い話が続く限りポジションを持ち、悪い話が増えたら売り」で良いと思います。海運株について、継続フォローします。