13年ぶりの海運ブームで2期連続最高益を見込む

 日本郵船は前期(2021年3月期)の純利益が1,392億円となり最高益を更新しました。前回海運ブームだった2008年3月期の1,141億円を上回り、13年ぶりの最高益更新です。

 今期(2022年3月期)、日本郵船の純利益は前期の3.6倍の5,000億円と、最高益をさらに大幅に更新する見込みです。

日本郵船の連結純利益:前期実績と今期会社予想

出所:同社決算短信より作成

 定期船事業(38%出資するONE社【注】)の利益急拡大が、好調の主因です。航空貨物・物流事業の利益回復も寄与しています。不振が続いてきた不定期船も、定期船に遅れてやっと市況が上昇し、収益が改善し始めました。

【注】ONE社(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス社の頭文字をつなげた略称)
日本の海運大手3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)が定期船事業を統合して作った合弁会社。出資比率は日本郵船が38%、商船三井と川崎汽船が31%ずつ。

 日本郵船の半期ごとの純利益推移を見てみましょう。
前上期(2020年4-9月) 222億円

前下期(20年10月-21年3月) 1,170億円

今上期(21年4月-9月) 予想3,500億円


となっています。

 前下期から突然利益が大きく伸びています。定期船ONE社が突然、大きな利益を稼ぎ出したからです。コロナからの消費回復が急な米国で中国からの輸入が急増した影響で、北米航路の積高、運賃、消席率とも改善し利益が急拡大しました。

 当初、北米航路の好調は一時的という見方が多く、前下期の純利益1,170億円は維持可能ではないと見られました。ところが、定期船の需給ひっ迫は想定以上に長期化しています。

 船舶の不足に加え、コロナ禍の影響で、港湾や内陸の物流作業が停滞していることが、需要ひっ迫を長期化する要因となっています。その結果、今上期の利益は一段と拡大し、日本郵船で3,500億円に拡大する見通しとしています。

 この空前の海運ブームがいつまで続くか誰にもわからないことで、高水準の利益をあげている定期船会社のONE社は、今下期の業績予想を未定としています。

 日本郵船は、下期は需給が正常化することで利益水準が下がると、保守的な前提に基づき、今下期の郵船の純利益は1,500億円になるとの予想を出しています。