おすすめしなかった投資対象と理由

 おすすめしなかった投資対象について、簡単に説明しておこう。

 まず、「個人向け国債変動金利型10年満期」は、現在おおよそ無リスクな商品の中では、銀行や保険会社よりも信用度が高く、金利上昇にも強く、利回りも相対的に悪くないので、最もおすすめできる商品だが、さすがに、10万円買っても面白みはないし、学びが小さい。あえて言うなら、銀行預金に置いておきたくない1,000万円以上の資金向きだ。

 おすすめのベストスリーには、内外の株式に投資するインデックスファンドばかりをすすめたが、バランスファンドやアクティブファンドをすすめないのはなぜか。

 バランスファンドは、現在人為的に低利回りにコントロールされている債券が含まれるので不利だという理由で、明白にダメなので除外した。資産配分を運用者が操作するタイプも、「8資産均等」、「4資産均等」といった資産配分を固定するタイプも、無駄が大きいし、自分でリスクの大きさをコントロールする学習がされにくい。

 しかし、さきほど第1位に推した商品のように、債券投資部分のない株式部分だけのミックス・ファンドが最近商品化されたことは好ましい。

 アクティブファンドは、「投資家が自分で気に入って投資する分には構わないが、(筆者のような)アドバイザーの立場の人間がアクティブファンドを推奨することは、職業倫理的に正しくない」と考えるので推さなかった。(1)アクティブ運用の平均はインデックス運用に劣る、さらに、こちらがより重要だが(2)良いアクティブファンドを事前に選ぶことができる方法はない、という二つの強力な事実には抗しがたい。

 もちろん、投資家個人が、アクティブファンドに投資することは一般論として有利ではないと知りつつ、運用者が気に入ったり、投資方針(たとえば、ESG投資など)が気に入ったりして、自分で選んだアクティブファンドに投資することは問題ない。自分のお金なのだから、好きにしていい。しかし、FPや金融マンなどが、「適切な根拠」があり得ないのに、我流の方法や思い込みでアクティブファンドを他人に勧めることは良心的でない。プロの行為として不適切である。

 最後に、個別株式をすすめなかった理由は、株式での運用は、最初からポートフォリオで行うようにして欲しいからであり、10万円では3銘柄投資するのには窮屈だから、というものだ。