ナスダック主力株の平均ROEは30%:年初来上昇率(平均)は27%

 米国株式の堅調をけん引するナスダック主力株のウエイトが高い「ナスダック100指数」(時価総額加重平均)構成銘柄のなかで「時価総額上位10社」を図表2で一覧しました。

 GAFAMと呼ばれる(アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、フェイスブック)のメガテック5社のみで時価総額は約719兆円に達し、日本のTOPIXの時価総額総計(東証1部上場2165社の時価総額合計:約592兆円)を大きく上回っています。

 ナスダック100指数の年初来騰落率は約27%となっていますが、上位10社の年初来騰落率(算術平均)は約71%となっています。また、上位10社の予想ROE(株主資本利益率)の算術平均は約30%超で、株主資本(自己資本)を活用した収益性で高水準を維持しています。

 こうしたなか、ナスダック主力株にも時価総額面で「順位変動」もみられます。今年は、エヌビディア(6位)、テスラ(7位)、ペイパル・ホールディングス(8位)が優勢となり、インテルやシスコシステムズなどが「時価総額上位10社」から圏外に低下しました。

<図表2>ナスダック主力株の時価総額と予想ROE(一覧)

*予想ROE(株主資本利益率)=Bloomberg集計による市場予想平均
出所:Blombergより楽天証券経済研究所作成(2020年8月5日)

 ナスダック100指数の時価総額上位5社(GAFAM)はS&P500指数の上位5社であり、同5社の時価総額ウエイト(S&P500指数における5社の比率)は約24%に増加し影響度を高めています。ナスダック主力株が堅調である背景として、ROE(株主資本利益率)の高さが注目されています。

 予想ROEはアップルの71.8%を筆頭に、マイクロソフトの41.6%、エヌビディアの35.4%、アドビの41.7%といったように高水準が目立っています。ナスダック100指数の平均予想ROEも約30%で、S&P500指数ベースの平均予想ROE(14.6%)はもちろん、TOPIXベースの平均予想ROE(6.1%)を大きく凌いでいます。

 付加価値の高いソフトウエアや継続的なサービス収入拡大を収益の源泉にしている企業は「株主資本を活用し高い収益を獲得している」と市場内で評価を高めている(時価総額が増加している)要因と言えそうです。

 なお、アマゾンは将来に向けた投資や研究開発を先行させる目的で純利益(EPS)を低位に抑えており、ROEも相対的に低位(それでも20.4%)に抑制されています。

 コロナ禍で加速する「デジタルシフト」を主導するハイテク株は全てが「グロース株」と呼ばれる銘柄群です。したがって、バリュー株(低PER、低PBR、高配当利回り)重視の投資家はキャピタルゲイン(値上り益)面で市場平均に劣後する傾向が続いています。