新型コロナウイルスのワクチンが完成すれば株価は大暴騰!?
一方で株式市場も堅調である。上値は重くなっているものの、国家管理で空前の流動性が保証されており、これで新型コロナウイルスのワクチンが完成すれば株価は大暴騰するとウォール街の連中は息巻いている。
だが、新型コロナウイルスのワクチンができるという保証は何もない。治験や安全性も含めて、ワクチンが実用化されるのは、まだまだ先の話になるだろう。ワクチンが利用可能になるまでは、米経済は活気に乏しくまだら模様の成長にとどまり、最悪の場合、長期低迷か恐慌に陥るだろう。
仮に、新型コロナウイルスのワクチンが完成して株価が大暴騰したとしよう。そのケースではFRBはインフレ対策という窮地に陥ると思われる。
「無制限のQE(量的緩和)」バズーカは、FRBが経済成長を支えるために赤字をマネタイズする必要があることに依存している。しかし、完全雇用と経済成長という目標がすぐに実現すれば、FRBは「インフレの急上昇」に直面することになる。
過剰流動性とインフレ圧力
モノには限度があり、トンデモ理論や政策には副作用がつきものである。
為政者はカネをばら撒くより、減税をやって消費を刺激し、企業の利益も増え税収も増えていく好循環に持っていくべきなのである。MMT(現代貨幣理論)をやれば英国病時代の英国のようになるだろう。シュンペーターは政府から十分な支援を得てしまえば資本主義は停滞すると信じていた。
昨今、タダで得られる既得権益であるかのように、「政策とカネをくれ!」というあなたまかせの時代になっている。FRBが何とかしてくれる、トランプ大統領が何とかしてくれる、バイデン氏なら…。そんなことを言っているうちは何も変わらない。米国は建国の精神を忘れてしまったのか。無責任な中央銀行によって、旧ソ連末期のような政策が行なわれている。だが、歴史を見ると、それも必然なのか…。
過去500年のビッグサイクル
「信用拡大は政府が市場経済と闘う第一手である」・「資本主義から計画経済に導くすべての歩みが必然的に専制・独裁に近づく歩みとなる」
(ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス)
資本主義から計画経済へ。資本主義が社会主義に勝利したと言われて30年。今度は資本主義が危機を迎えている。
経済の2番底は必ずやってくる。
「政府について知りたければ、これだけ知っておけばいい――『政府は嘘をつく』」
I・F・ストーン(米国の作家)