毎週600ドルの失業給付を7月以降も延長させるかどうかが焦点

 現在、米国議会において、毎週600ドルの失業給付を7月以降も延長させるかどうかの検討が行われている。夏から秋にかけてのベストシナリオは、政府の支援をつなぎとして、州や地方がビジネスの再開を許可し、多数の雇用が創出されることである。一方、ワーストケースとして考えられるのは、多くの人が仕事に戻ったとしても失業時に比べて受け取る賃金が低くなり、パンデミック以前の仕事の大部分が戻ってこないことである。

 ムニューシン財務長官は10日、上院の中小企業起業家委員会で証言し、「経済にもっと資金を投下するため、新たな超党派の法案が必要になると確信している」と述べ、国に追加の経済対策が必要なのは「間違いない」と言明した。新型コロナウイルスの感染抑制のために閉鎖した事業をなかなか再開できない業界があり、こうした産業を重点的に援助することがとりわけ重要だと指摘したが、政府債務が膨張し続けている中、ない袖をどこまで振ることができるのか。

 雇用情勢が着実に改善しないことには米経済の回復も期待することができない。また、安定した雇用がなければ、消費は回復に向かわない。雇用と消費、この2つが経済の継続的な成長の重要な要素となる。政府が失業給付を増やし、個人を支援したところで、この収入が安定的に消費に回らず、再びロビンフッドに殺到することになれば、金融相場をまたもや演出することになる。雇用と消費、この動向を引き続きウォッチしたい。

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出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート(パンローリング)