民主党の副大統領候補が鍵?

 とは言っても、バイデン候補は高齢(77歳)で、9月以降に3回予定されている大統領候補者TV討論会でトランプ大統領(74歳)の迫力や攻撃に押されやすいとの観測もあります。

 一方、バイデン候補は「副大統領候補に女性を指名する」との公約を表明して注目されています。民主党とバイデン候補は現在、共和党陣営(トランプ大統領+ペンス副大統領)に勝てる可能性を高めるべく「ランニング・メイト(副大統領候補者)選定プロジェクト」を進めているとされています。

 図表3は、バイデン民主党陣営で副大統領候補に指名される予想確率が高い順に5名のみを示したグラフです(予想確率の降順)。

 当初から大統領候補に名乗りを上げ候補者TV討論会で注目されたカマラ・ハリス上院議員(前カリフォルニア州司法長官:指名予想確率44%)をはじめ、第2位のバル・デミングス下院議員(前フロリダ州オーランド市警察庁長官:18%)など上位5名中4名が「非白人女性」となっています。

<図表3>民主党の副大統領候補は非白人女性が指名される?

出所:U.S. PredictItの指名予想確率より楽天証券経済研究所作成(2020年6月10日)

 バイデン民主党陣営が副大統領候補に「非白人女性」を指名することになれば、「性別や肌の色を超えたダイバーシティ(多様性)重視」を有権者に訴求するとみられ、バイデン候補の優勢を後押しすることになりそうです。

 なお、選挙前には米国民に人気が高いミシェル・オバマ(オバマ元大統領のファーストレディーで著作が全米で1000万部超の販売を記録)が民主党候補の応援演説会に登壇するとみられ、「私の夫(米国初の黒人大統領)を8年間支えてくれたバイデン氏当選と女性初の副大統領を実現させ、人種間や社会の対立を融和させる政治を誕生させましょう」などと訴えるとみられます(オバマ元大統領はすでにバイデン候補支持を表明しています)。

 今後の景気動向、新型ウイルスの感染(第2波)動向、市民デモの行方とトランプ政権の対応次第で選挙動向も変化する可能性がありますが、「トランプ大統領再選」が危ういことがさらに鮮明になれば、「共和党政権の継続」をメインシナリオに据えてきた投資家の動揺(ワシントン情勢の不透明感)を誘い、米国株式やドル相場の乱高下を介して日本株式も影響を受けやすい状況となるでしょう。