「株式市場が描く未来」と「現実」とのギャップが広がる

■(図2)日経平均(日足)とギャン・アングル(2020年5月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 さらに、上の図2のように、2月6日と3月19日の下落局面を基準としたギャン・アングルをみても、8×1ラインを超えてきました。

 元々、日経平均の2万1,000円台乗せは想定していましたが、思っていた以上に相場のピッチが早く、買いの勢いが強かった印象です。

 確かに、相場環境は先週末あたりから高まってきた米中摩擦の警戒など、いまだに無視できない不安要素を抱えていますが、株式投資において利益が狙いやすいのはトレンドが発生している局面ですので、「行き過ぎた株価は後で修正されるのだから、行けるところまで行ってしまえ」というムードなのかもしれません。

 物色の対象についても、抗コロナウイルスのワクチン・治療薬関連や公衆衛生関連、リモートワークや巣ごもりといった、生活・社会のデジタルシフトへの変化と、それらを支えるITや半導体などの技術関連など、「買える」銘柄が一定数存在しています。物色がバリュー(割安)株へと広がっていく展開を見せればこの流れが「まだまだ」続くことが考えられますが、その反面、株価上昇に伴って「株式市場が描いている未来」と「実際の現実」とのあいだのギャップも確実に広がっています。

 間近に迫っている日経平均2万2,000円水準のところで「そろそろ」の達成感が出て上昇がストップし、いまのところ上値抑制にとどまっている米中摩擦が売り材料になってしまえば、下値と試す展開も考えられます。