象徴的な材料が出ない限りもみ合いが続きそう

 新年度相場入りとなっても、新型コロナウイルスが相場に影を落としている状況が続いているわけですが、実際に、先週公表された日銀短観や米雇用統計といった経済指標の悪化にも表れています。とはいえ、指標結果に対する株式市場の初期反応は一応ネガティブではありますが、3月の急落時に見せていたような値動きに比べると、その下げ幅は限定的にとどまっていると言えます。

 今週も、2月締めの国内企業の決算発表が多く予定されていますが、これまでの株価急落によってかなりの実体経済悪化への不安を先取りしてきたと考えれば、多少の経済指標や企業業績の悪化は「もう分かりきっていること」として、相場にあまりインパクトを与えないのかもしれません。

 むしろ、「国内で緊急事態宣言が出される」「延期されていた中国全人代の開催スケジュールが発表される」といった象徴的な材料の方が株価を大きく動かす可能性があります。

 こうした材料が出てこない限り、日経平均は警戒感がくすぶる中で動きづらく、一定のレンジ内でのもみ合いがしばらく続きそうというのがメインシナリオになりますが、このもみ合いの展開が「本格的な上昇への足場固め」となるのか、それとも「長期相場低迷の入り口」となるのかが中長期的な焦点になってくると思われます。

■(図2)日経平均(週足)チャート(2020年4月3日取引終了時点)

出所:Bloombergデータ等を元に筆者作成