世界的な利下げムードは“通貨の地盤沈下”を招く。金にとって格好の上昇要因に

 上記のような、新型肺炎が欧米に飛び火したこと以外にも、金相場にとって、強気な材料が出始めています。世界的な利下げムードによる“通貨の地盤沈下”です。

 金利の引き下げ(利下げ)は、企業や個人の資金調達を容易にし、経済活動を活発化させる要因になります。2月に入り、主要国では、新型肺炎拡大により実体経済がマイナスの影響を被ることを予防することを目的とした利下げが相次いでいます。

 2月に入り、ブラジルなど10カ国以上で利下げが行われ、中国でも利下げに準じる策が講じられたと報じられています。また、利下げを休止する姿勢が示された米国では、新型肺炎の影響拡大を受け、徐々に、年内に利下げが行われる観測が強まり始めています。

 新型肺炎が飛び火し、心理面でも経済面でも不安が強まり始めた欧米でも、自らの通貨の価値を引き下げる側面を持つ、利下げが行われることとなれば、世界的な“通貨の地盤沈下”が起こりかねません。

 この時、“国の裏付けを必要としない世界共通のお金”という側面を持つ金に、消去法的に保有される動機が生じる可能性があります。