2020年の新興株市場に期待すること

 こういったコラムでは、マザーズ指数の上値メドとか下値メドとか、何が注目銘柄かといった話が求められるのかもしれませんが、筆者にはさっぱり1年後のことが見えません(明日のことも見えない)。ただ、前述の通りで、IPOが今の感じであるとすれば、来年もマザーズ指数の本格上昇など起き得ないでしょう。

 仮にファンダメンタルズの裏付けがなくても、東証1部銘柄の場合は何とかなる構造が作られています。これは、東証1部には、2020年も確実な買い手が存在するから。日銀ETF買い(年間枠は約6兆円)と自社株買い(年間8~9兆円規模?)で、これは相場感とは関係なく問答無用で買い越し要因になります。

 ただ、マザーズにはその両方がない…それだけに、ファンダメンタルズの裏付けや、確度の高そうな成長カタリストを持つ企業が増えないと機関投資家含む長期の投資家の資金が見込めないままと考えられます。こればかりは、投資家側では何ともしようがない問題。上場の是非を判定するのは東証なわけで、JPX(日本取引所グループ)の19~21年の中期経営計画には「IPO件数毎年100社程度」とは書かれていますが、そうした目標達成より質向上に取り組んでいただきたいなと思うばかりです。

 では2020年はどうすればいいの? という話になるわけですが、結論はひとつ。質の劣化が進む市場にあって、個別で業績を劇的に良くした銘柄を追うことに尽きるのではないでしょうか。冒頭にも書きましたが、新興株市場で2019年に最も時価総額を増やした銘柄はワークマンでした。文句なしで業績が背景です。マザーズ市場でも、前年比で株価が10倍以上になったテンバガーが2銘柄出ています。レアジョブ(6096)とホープ(6195)ですが、いずれも業績予想の大幅な上方修正から大相場に発展しました。

 そんな銘柄を、「業績がいいとは言っても、さすがにやり過ぎだろ~」な割高水準まで持ち上げるのも日本の新興株市場の愛すべきところ(笑)。ここだけは2020年も変わらないでいて欲しいですし、おそらく変わらないでしょう。