2020年の新興株市場は?

マザーズ&ジャスダック、それ自体が近い将来なくなる?

 2020年、まずは新興株市場の枠組みの変更が発表されることに触れておきます。今、新興株市場はマザーズ、JASDAQスタンダード、JASDAQグロースがありますが、この枠組みが見直されるようです。金融審議会の「市場構造専門グループ」が市場構造の見直しを議論してきました。その柱として、東証1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場を3つに再編することが挙げられています。

 議論された内容によると、最上位を国際的な機関投資家などの投資対象になるような「プライム市場」、その次を一般投資家の投資対象として「スタンダード市場」、そして高い成長可能性のある企業の「グロース市場」、こういった分け方を考えているようです。国際的な機関投資家と一般投資家を分けて考えている自体で市場のことを分かってない人の議論に感じますね。色んな投資家が参加することでミスプライスも生まれるし、それが投資機会につながるものですから。

 そして、新興株市場はここでいう「グロース市場」に当てはまるわけですが…高い成長可能性のある企業ということでいえば、JASDAQスタンダード市場はイメージとは違いますよね。そう考えると、枠組み変更の先の“新興株市場”というのは「マザーズ+JASDAQグロース」が想定されます。細かく企業ごとに振り分けるのは難しいでしょうから、枠組み変更の無難な落としどころはこの辺りでしょう。

 そうなると、数年後(3年後くらい?)には、マザーズとジャスダックの名前はなくなるでしょう。そして、マザーズとJQグロースの連合軍が、別の市場名に変化した形で誕生するはずです。では、マザーズとJQグロースが合体したら、中身はどういう感じになるのか? を想像してみましょう。

「マザーズ+JQグロース」連合における時価総額トップ10(12月13日時点)

コード 銘柄名 現市場 時価総額
(億円)
4385 メルカリ マザーズ 3,129
4592 サンバイオ マザーズ 2,146
4565 そーせい マザーズ 1,698
3479 TKP マザーズ 1,638
2121 ミクシィ マザーズ 1,630
3923 ラクス マザーズ 1,625
4443 SANSAN マザーズ 1,559
3993 PKSHA マザーズ 1,343
6027 弁護士コム マザーズ 1,250
2160 ジーエヌアイ マザーズ 1,068
※JQG銘柄では、JTEC(7774)が381億円で33位、ラクオリアが256億円で58位

 12月13日終値時点の時価総額でランキング化すると、連合軍とはいえ、トップ10はマザーズ銘柄一色。JQグロースの最大銘柄J・TEC(7774)でも33位ですので、連合軍を表現するなら…「ほぼマザーズ」。市場名が変わったところで、中身はマザーズです。

 ちなみに、マザーズの時価総額合計が5兆8,735億円(社数304)、JQグロースが同2,806億円(同37)。ですので、市場の枠組みが変わって生まれる新・新興市場は、“濃度95%でマザーズ”となります、クドイですが。